箱庭

□好きだと言って。
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「なぁお前、マドンナに告られたって、マジ!?」

「まぁ…ね。」


俺は目を泳がせる。



家が隣同士で、かれこれ幼稚園の時から一緒の俺達。


でもコイツは昔から頭がよくて、スポーツも出来て、しかもイケメンでモテモテ。

そんで最近、急に背が伸びてきた。



そんなお前に、昨日一つだけ上回る出来事が起こった。

それは、クラスで超がつくほど美人で、しかもお金持ちのマドンナに俺が告られたということ。


「うわっ、本当だったのかよ;」

「まぁ、俺様こんなカッコイーし?当然じゃね?」



相変わらず上から見下ろしてくるお前を、俺は鼻で笑ってやる。

そしてお前がいつものように、俺の小さい頃のことをネタにバカにしてくるのを待つ。

でもお前はただ「そうかぁ…」なんて、気の抜けたように呟くだけ。



アレ…なんか、いつもと違くね…?




「なんだよ…俺が告られて、そんなショックか?」


いつまでも俯いている、お前の顔を覗く。

そしたらバチッと目があった。


急に体が熱くなって、胸がいっぱいになって、もうどうしていいか分かんなくなる。

何か言おうとパクパクと金魚みたいに口を動かす。



声が出せない。

いや、出しちゃいけない。



今出したらきっと、この想いを丸々お前にぶつけちゃう。

けど、気持ちが溢れて、声が出ちゃいそうだ――――




「あ…お、俺…」



口が勝手に動く。

これ以上は本当にヤバイのに、目を逸らすことさえ出来ない。

あぁ、もうダメだ――――





「お前が好きだ。」




それは突然だった。

一瞬、本当に何が起こったのか分からなかった。

だって俺が言おうとした言葉を、何故かコイツが先に言ったんだから―――。



「え―――」

「て、言われたのか?」

「…はぁ…?」

「いや、マドンナにさぁ。」

「え…」



アレ、こいつに告られたわけじゃないのか…?

なんだよ、人の気も知らないで、そんなこと軽く口にすんなよ…。



「え…お前、なんで泣いてんの…?」

「泣いてねぇし!」

「いや、だから泣いてるって。」

「うっせぇ!俺が泣いてねぇつったら、泣いてねぇの!!」



「あれ、デジャブ…?」なんて言いながら、お前は泣いてる俺の頭をなでてくる。

それで更に俺は号泣して、お前は凄く困った顔をしながら、一生懸命どうにかしようとあたふたする。



そんなお前が、俺は凄く大好き。


絶対いつか、俺の事を好きだと言わせてやると心に決めながら、今日も俺達は帰路につく。


― end ―



続編はこちらから→ 『オムライスの上にハートを描こう』



 

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