箱庭

□おんなじ歩幅
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「お前…小さくなった?」



笑いながら、冗談を言うお前。



「お前がデカくなったの!!」



俺は怒鳴る。


家が隣同士で、かれこれ幼稚園の時から一緒の俺達。

でもコイツは昔から頭が良くて、スポーツも出来て、しかもイケメンでモテモテ。


唯一同じなのは身長だけだった。


なのに、ここに来てそれすらも俺を上回るとは…



お前の上は無理なの分かってるけど、何か1つだけでも同じになりたい…




「ふん。いいよ…俺、厚底履くから。」


「やめとけ。お前絶対コケるぞ。」


「!!俺、コケたことねぇし!!」


「顔面からコケてマジ泣きしてたろ?」


「いつの話しだよ!」


「幼稚園。」




上から見下ろしてくるお前を、俺は鼻で笑ってやる。




「俺はもう大人だぞ?あんなチミっ子の時と一緒にすんなよ。」


「かわんねぇだろ。」




そう言って、上からくしゃくしゃと俺の頭を撫でる。


顔が、熱くなった。




「お前…マジでムカツク…」




俺の気持ちも知らないで、どんどん俺を置いてきぼりにして…そのくせこうやって、触ってきたりしやがる。


もう、この気持ちをぶつけてやりたい。




うつむいてたら、アイツの長い足が目に入った。


どうせ俺は短足ですよ!!

そう叫んで泣きそうになった。



けど、あることに気付いちゃった。

こんなに足が長いくせに、俺と歩幅が変わらないんだよね。



…何だそりゃ…!!




「ち、ちょーしに乗んなよ…!?」




顔を上げたら、目が合った。

キョトンとした顔のアイツ。




「お前…なんで泣いてんの…?」


「泣いてねぇし!」


「いや、泣いてるって。」


「うるせぇ!俺が泣いてねぇっつったら泣いてねぇの!!」




そんなやり取りを続けながら、今日も俺達は帰路につく。


-end-



続編はこちらから→ 『好きだと言って。』


 

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