SHORT STORY

□月の夜ならば
1ページ/1ページ



「陛下、明日は大臣と会議でしょう」

不満を募った声で言う。
それでも言葉を投げつけられた当の本人にとっては関係ないとでもいうように、一言で咎める声を遮断させた。

「もう一度言う。 脱げ」

そう言い放つ彼の言葉を渋々ながらも受け取るのは、心理的な服従関係があるからではない。
実際に皇帝とその軍人という関係があるからだ。
しかし、あるいはそうなのかもしれない。
自分はこの人に従わなくてはならない、と。
頭の何処かで暗示のような囁きが聞こえるのだ。

「・・・これで満足、ですか?」
「脱げと言ったら全部だろうが」

面倒だと言わんばかりの溜め息をつき、肌蹴させただけの衣服に再び手をかけると、自分より一回り大きな身体に押し倒される。

「全く性欲が沸いてこないな」

そう言いながらも、彼の手は自分の中心へと赴き、慈愛をかけるように丹念に扱う。

「っ・・・お互い様です」


愛してると 言わんばかりに。



end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ