落書き
□想い
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始めると続ける
君を好きなり始めたのはいつからだろう。
君を好きなこの想いはいつまで続くんだろう。
嫌われてはいないだろうなんて、思うのは初めてで。でも、この想いは伝えていない。
だって。自信がないんだ。君の中のオレは何番目…かなんて怖くて聞けないよ。
オレの中の君はいつでも一番で。この頃はいつも君の事ばかり考えてしまうよ。
こんなに近くにいるのに遠くに感じる事も多くて。
「…沢田殿?…どうされたんですか?」
ボーっとしているオレに君は何度か呼びかけて心配そうに見つめている。
そんな態度をとられると期待もしちゃうでしょ?
まさか男が男に恋愛感情を抱くなんて、自分でも思っていなかったけど。君と出会って。君に惹かれていく自分に気が付いて。
好きだとわかった。
君と一緒にいると嬉しくて。でも、時々、胸が締め付けられるような気分になったり。なんだか恥ずかしくて、上手く話せなくなったり。
君がいない時は君の事ばかり考えて。側にいないのがひどく不安になる。心が落ち着かない。
「…なんでもない…大丈夫だよ?」
精一杯、悟られないように答えて。
オレ、おかしいかな?
挙動不審に見えたかもしれない。オレは嘘をつくのは下手だから。なにかしら変な態度をとっているかもしれないな。
君がオレの家に来てもう1ヶ月。早いのか遅いのか。君と近くにいすぎるから別にこの想いを伝えなくても一緒にいれる事も多くて。
一緒にご飯をたべたり、一緒にテレビを見たり、一緒におしゃべりしたり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に買い物に行ったり。あ、あと一緒に修業したりね。まあ、この修業のために家にいるんだけど。今だって君と修行中だし。
ほとんど一緒だからこのままでも充分じゃないかって思ってしまうんだ。
でも、君が好きだって気が付いて。時々凄く不安になるんだ。
だから、こんなに一緒にいるのに気持ちは満たされてないのが解る。
「…何か…悩み事ですか…?」
隣りに座る君はゆっくりそう言うと空を見上げるようにして。
「…誰だって悩み事ぐらい…ありますよね…」
静かにつぶやいて、スッと立ち上がる。
「その悩みは…誰かにお話出来るものですか?ひとりで悩むのはつらい事です。だから、もし拙者でよろしければ、相談にのりますよ」
いつでも仰って下さいね、なんて微笑んで君は言って。
オレに手を差し伸べる。
「さあ、修業を再開致しましょう」
その手に自分の手を重ねて立ち上がると。
「いつも…ありがとう」
笑い返してそう言うと、君は恥ずかしそうに照れて俯いて。
そんな仕草にドキドキする。
「時間だツナ、修業、再開だぞ」
オレの家庭教師が来て。また、いつもの修業に戻る。
いつまで続くこの想い。この家庭教師には知られたくないけど。多分…オレの行動からバレてそうだな。一番侮れない。
いつか自分にもう少し、自信がついて。もう少し強くなって。もう少し自分のことが好きになったら、君にこの想いを伝えても良いのかな。
オレが今、修業をする大きな理由のひとつ。
君が好きだから。
了