落書き

□雨に降られても
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季節がら。

天気予報が外れ雨が降ったり降らなかったりする季節。

今、日本はそんな季節。

そう、教わりました。雨に濡れることなど、たいしたことなどない。



【雨に降られても】



ツナが学校から帰ってくると、久しぶりに降りそうになかった空が、急に暗くなりいつもの湿っぽい空気が開けていた窓から入ってくるのがわかる。

制服から私服に着替え、ジメっとした暑さに飲み物を求めキッチンへと向かう。

キッチンには誰もいなく、綺麗にしまってある食器棚から適当にコップを取り出すと冷蔵庫を物色する。

残り僅かな烏龍茶を見つけるとコップに注ぎ、一気に飲み干した。


「あら、全部飲んじゃったの?」

急に声をかけられて驚いて振り向くと、奈々が天気を案じて洗濯物を急いで取り込んできたところのようだ。キッチンに気配を感じひょこり顔を出した、そんな感じだ。

「母さん、…だってこれ、もう、ちょっとしか入ってなかったから」

「後でまた作っておくわ。意外に暑いものね」

ツナが言い訳するとはいはいと聞き流すようにそう言って途中の仕事に取りかかる。


「雨降りそうなのに」

そう呟きながら洗濯物をたたむ奈々を見てツナはあれ?と思う。

何かに違和感を感じた。何だっけ?


「ママン〜ご飯はまだ〜、オレ、お腹空いたもんね!」


「あら、さっきおやつ食べたばかりよ。お夕飯まではもう少し待っててね」

洗濯物をたたむ奈々の周りに小さいながらも元気いっぱいのチビがやって来て、邪魔をするが、笑顔で対応されまたごちゃごちゃ言いながらその場を後にする。

その後をもう一人のおチビさんが駆け抜けて行く。どうやら遊んでいるというより怒っているようすだ。

「×△☆●※★!!」

すぐにランボは捕まってやられていると、少し大きい子が入ってきて2人の仲立ちをする。

「2人とも。ケンカは駄目だよ。それにお家の中でそんなに走り回ったら危ないよ」

まだ小さいけどやっぱり年上だ。意見もちゃんとしてる。

フゥ太に言われ何とか2人は離れて動きを止める。

一人っ子だったオレがリボーンが来て家の人口密度があがる。洗濯、ご飯、掃除。家事も大変になる。嫌がらずこなす奈々を見て凄いなと思う。

母さんは凄いよな。

そして、最近同居人になった人を思い出す。

バジル君も家事好きだよな。よく奈々の手伝いをしてるのを目にする。特に洗濯に関しては。

ああ、さっき感じた違和感はこれか…母さんが洗濯物をたたんでるのを久しぶりに見た。

バジルが来てからは洗濯は必ずと言って良いほどバジルがしてたからだ。

父を親方様と慕い、オレの事もまた父とは違う意味で慕ってくれていた。

そう言えば今日はまだ姿を見ていない。いつも忙しい彼だけど。また父さんと一緒に仕事だろうかと気になって奈々に聞いてみる。


「母さん、そう言えば、バジル君は?父さんと仕事?」

「バジル君ならお買い物よ。夕飯の足りない材料となくなりそうな洗濯洗剤頼んだの」

「え?ひとりで?」

「そうよ。拙者ひとりで行けますって、ツッ君が帰って来てから一緒に行ったらって言ったんだけどあの子聞かなくって…」

バジル君は良い子なんだけど…意外に強情な所もあったり。そうゆうとこも嫌いじゃないけど。でも心配だろ?いやバジル君は強いけど。


色々考えてるツナをよそに空は益々暗くなり、ポツポツと大きめの雨粒を落とし始める。
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