落書き

□タイセツな事
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「大丈夫?」

ベッドに横になってる人を心配そうに覗き込んで、そっと赤くなっている頬に触れる。

(まだ…熱い…どうしよう)

困った顔をしていると熱い手が自分の手に重なってきた。

「…大丈夫ですよ…。もう少し寝れば、…治りますよ…沢田…殿もお休み…下さい…」

(そんな泣きそうな顔なさらないで…大丈夫、拙者は…)

相手に安心させるように笑顔を向けながら少し辛そうにバジルは言った。

「でも…」

(こんな君を一人置いていけないよ)

バジルの様子になかなか動けずにツナはバジルの側から離れずにいると。

「駄目ですよ」

再び笑顔で返されて。

「そんな顔していたら治るものも治らなくなります。病は気からって仰るでしょう」

ツナを気遣ってか先ほどよりスムーズに話を続ける。

「そ、そうだけど…」

まだ、困っているその顔に暖かい手が伸びてきて。

「でしたら、笑って…拙者を励まして頂けますか?」

少し申し訳なさそうに、でも笑顔でバジルはツナに申し出る。

(!?…励まされてるのはオレの方だな…ごめん)

反省しながらも何とか笑顔を作りバジルと目が合うと、何とも恥ずかしくて顔が火照る。
「は、早く、良くなって、ね」

少しどもりながらも励ましの言葉を贈る。

ツナの笑顔と言葉にバジルも嬉しそうに笑顔で応える。

「有り難う御座います」

(拙者はやはり沢田殿の笑顔が…好きです)

そう思うと急に瞼が重くなる。

「拙者も寝ますから、ご安心下さい…これでもしおぬしまで体調を崩されたら、拙者は…もっと辛くなります」

(こんなに近くにいては感染させてしまう)

眠そうに、でも自分の思いははっきり伝えるとやはり笑顔で瞳を閉じる相手をツナは笑顔で見つめて。

「ありがとう…」

そう言って熱い額をなでると濡れたタオルを乗せる。

(ホントにムリばっかりして…)

まだ少し深く息をしながら眠りにつく相手に自分は風邪をひかないようにしようと予防の為に薬を飲みバジルの寝ているすぐ隣に布団を敷いて電気を消すとツナも横になる。

(これくらいは許してよ…オレが君をこの寒い中待たせたせいでこうなったんだから)

バジルがよく見えるように近付くとそっと手を伸ばして相手の手を探り当て握り締める。
すると相手も握り返し心なしか呼吸が整う気がした。

相手の静かな呼吸に誘われて、ツナも眠気が襲ってくる。

(君の事…好きになって良かった)

静かな部屋でゆっくりそんな事を考えながら眠りに落ちた。

………………

翌朝

目を覚ますと手のひらに暖かいモノを感じ顔をそちらに向けると。

「!!?さ、沢田殿…?」

まだ、寝ている相手を起こさないよう静かに呟いて。

軽くなった体を起こす。

(治ってる…)

体の痛みも、だるさも消えていた。

(やはり沢田殿のおかげですね…)

未だ繋いだ手を見ながら微笑んでそのままふふっと笑うと。

(もう少しこうしていたいなんて言ったら笑われてしまいますね)

空いているもう片方の手でツナの頭をふわりと撫でるとそっと顔を近付ける。

「ありがとうございます」

そっと礼を述べてツナの額に手を乗せて体調を気にし、熱がなさそうだと確認すると胸をなでおろす。

(良かった…)

ずっとこうしていたいけど、そうもいかないと判断し、バジルは繋いでいた手をゆっくりとほどく。
暖かいモノがなくなりさ迷うように手を動かして目が覚めると、少し驚いたように自分を見つめている人と目が合って、自分と相手の状況を思いだす。

「バ、バジル君!ごめんオレ…、あの、大丈夫なの?熱は?あ、だるくない?」
一気に質問をバジルに浴びせて焦るように起き上がる。

「大丈夫ですよ。おぬしがいてくれたから」

にっこり笑うと。

「ほら」

そう言って額と額を優しく合わせると相手の熱がないのはわかる。

「ありがとうございます」

今度はちゃんと相手を見てバジルは言う。

「そんな事ないよ」
少し照れながらそう言うと。

「ずっと繋いで頂いてたのでしょう。拙者の風邪が感染るかもしれないのに」

嬉しそうに言われてツナも嬉しくなる。

「大丈夫だよ。予防に風邪薬飲んだから」

にっこり笑うと目が合って2人して笑い出した。



自分が健康でいる大切さを改めて知る。

教えてくれたのは大切な人。大好きな人。

想いは伝わる。相手を想うほど自分が成長する。そんな自分でありたい。



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