落書き

□桜梅桃李
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蒼い目
蒼い炎
白い肌
栗色の髪

どれもオレにはないもの。

君は持っている。

「いいな」

隣に座るその人の髪に指を絡めてそっとツナは呟く。

「何がですか?」

面白くなさそうにしている目の前の人にバジルは少し心配そうに聞き返して。


「だって、君はオレにないもの何でも持ってる。だから、羨ましいなって」

バジルの心配そうな顔を見て慌てて笑顔をつくりながらそう言うと考えていたことを言い放つ。

「沢田殿…」


オレンジ色の瞳
オレンジ色の炎
体の割に力強い手
暖かい心


おぬしだって。

拙者にないものばかり持っている。

諂曲なる気持ちを思い出す。

そう、思っていたこともあったけれど。
親方様に出会って
門外顧問のチームに入り、色々な方に出会って拙者は変わっていった。

おぬしの為に。

「…前に、親方様がこう仰っていました…」

ツナは親方様の単語に面白くない顔をして、一度その気持ちを落ち着かせようとバジルから視線を外す。

そんなツナの様子を伺いながら話を進める。

「…沢田殿は桜梅桃李と言う言葉をご存知ですか?」


「?オウバイトウ…?…何?知らない。イタリア語?」

バジルの言葉を繰り返して、ツナは問いかけに知らないと答える。

「いいえ、日本の言葉で四字熟語のひとつです」

「四字熟語かあ…難しい言葉知ってるね」

「良い言葉だなと思いまして、よく覚えているのです」

「どうゆう意味?」

笑顔で言われて悪い気はしないツナは素直にバジルに答えを求める。

優しく微笑みながらバジルは話し出す。

「桜梅桃李とは、桜、梅、桃、李と書きます。」

「へー。そうなんだ」

全部書けるだろうか?と思い巡らしながらバジルの声に耳を傾ける。

「桜には桜の彩りがあって、梅には梅の姿があって、桃には桃の香りがあって、李には李の味わいがある。それぞれ違うけれど、ちゃんと良いところがあって。だから人それぞれの個性を尊重した、言葉です」


真面目に笑顔で褒められてツナはちょっと照れながらお礼を言う。

「あ…ありがとう」

「でなければ、拙者はココにいませんから」

おぬしのその心に惹かれてココにいる。

ふんわり笑いながらそう言うバジルはとても綺麗でツナは不意に見入っていまった。


目が合って、ちょっと照れ隠しでツナは頭をかきながら返答する。

「オレだって」

そう言ってバジルの髪を梳くと目を閉じてソレにキスをする。

君のイイトコロは沢山知ってる。

だから惹かれた。

そして今も一緒にいる。



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