中編

□エンドレス・バレンタイン
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「まあ、その話は置いといて……どうです?」


 と言って、古泉はオセロを取り出した。
 ああ、構わないぞ。


 しばらくの間、盤上を雪原の様に白く染めていると、静かにドアが開き、幽霊みたいに長門が現れた。

 長門は音もなくドアを閉めると、俺と古泉にチラリと視線をやり、定位置である窓際のパイプ椅子に腰を
下ろす。そのまま鞄の中から文庫本を取り出すと、ページをめくり始めた。


 長門が入ってきてから1分と経たないうちに、ドアがコンコンと音をたてた。


「どうぞ」


 と、古泉が返事をする。
 ゆっくりとドアが開くと、麗しのエンジェル、朝比奈さん降臨。


「みなさんお早いんですね。あっ、直ぐにお茶の用意しますね」


 天使みたいな笑顔で、朝比奈さんはパタパタとコンロの方へ駆けていく。
 慣れた手付きでお湯を沸かしていると、テーブルの上に山積みにされた箱を見て、


「うわぁ、すごい! モテモテですね、お二人共」


 と、俺と古泉の顔を見て言った。
 いえいえ、朝比奈さん。これは全て古泉の戦利品でして、俺は未だに1つも貰ってないんですよ。



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