Original Novels
□幼なじみより強い絆を……
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「よっしゃ! 次はリョウの番だぜ!」
ファンタが、箱を持って俺の前までやってくる。
その箱の中には、何枚かの『命令』が書かれた紙が入っていて、引いた紙に書いてある命令を必ず実行しなければならないという、クリスマスパーティーを盛り上げるために、はつかの思いつきで始まったゲーム。
先ほどのはつかの「お、おっぱいは(ry」や、ファンタとジアのファンタジックコスプレなどは、このゲームの命令だったわけだ。
そんなこんなで、次に紙を引くのは俺の番。今回が三回目だが、願わくば、今度こそ簡単な命令が書いてある紙を引きたいところだ。
「……よし」
箱に開いている穴に手を突っ込み、中身を
かき回した後、俺は一枚の紙を引いた。
四つ折りにされた紙を恐る恐る開いてみると、そこには――
「……なん……だと……っ!?」
「どれどれ。……おっふぉう! これはまたエキセントリックな命令だな」
横から命令の内容を盗み見たファンタが、そんなことを言い出した。
でも、たしかにファンタの言いたいこともわからんでもない。
俺の手の中にある紙には、
『異性の人にマジ告白 ただし、生徒会役員に限る』
なんて文字が、明らかに女子が書いたような字で、でかでかと書かれていたのだから。
「なんて命令が書かれていたんですか?」
「さっさと実行しなさいよね、リョウ」
長テーブルの上に広げられたお菓子の山を少しずつ削っていた女子二人が言う。
『生徒会役員の異性』というカテゴライズに当てはまるのは、この二人だけ。
つまりは、この二人のどちらかに告白しなければいけないわけだが……。
「まあ、難しいわな。心中察するぜ、リョウ」
俺の肩にポンと手を置いてくるファンタ。そういえば、コイツも知っていたんだっけか。
「……はぁ」
ちらりとジアの方を見ると、ジアはスティック状のチョコレート菓子を、リスのようにかじっている最中だった。
「? どうしたんですか、リョウさん?」
「……いんや、なんでも」
俺の視線に気付いたジアが、疑問顔を浮かべ、訊ねてくる。
実は、俺は最近ジアに告白されていた。
そのときは、『今は自分のことで精一杯』という理由で断ったが、多分、ジアはまだ俺のことが好きだろう。……多分。
そんなジアに告白したら、多分二つ返事で了承してくれ、俺たちはめでたく付き合うことになるかもしれない。それは、あまり望ましい展開ではなかった。
ジアのことは嫌いではないが、あくまでも友人として、だから。
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