バカとテストと転校生

□第二問
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 Aクラスへの宣戦布告。

 それはこのFクラスにとっては現実実の乏しい提案にしか思えなかった。



『勝てるわけがない』


『これ以上設備を落とされるなんて嫌だ』


『姫路さんがいたら何もいらない』


『……っていうか、坂本ってロリコンなのか?』


「ちがうわっ!」



 そんな悲鳴が教室内のいたるところから上
がる

 確かに、AクラスとFクラスの戦力差は明らかだった。


 この文月学園のテストには、点数の上限がない。

 一時間という制限時間内ならば、生徒の能力しだいでどこまでも成績を伸ばすことができる。

 そして、文月学園にはもう一つ変わったシステムがある。それは、科学とオカルトと偶然により完成され
た『試験召喚システム』というものだ。これはテストの点数に応じた強さを持つ 『召喚獣』 を喚び出して
戦うことができるシステムで、教師の立会いの下で行使が可能となる。

 学園長曰く、 「『成績』 を可視化することによって、生徒の勉強へのモチベーションを上げる」こと
を目的としたシステムらしい。

 そして、その中心にあるのが、召喚獣を用いたクラス単位の戦争――試験召喚戦争と呼ばれる戦いだ。



「…………」



 その戦争で重要になるのは、召喚獣の強さとなるテストの点数、つまりは学力となるんだけど……。



「…………はぁ」



 見渡す限り馬鹿、バカ、ばか……。

 この様子だと、Aクラスの生徒一人を倒すのに、Fクラス三人でも勝てるかどうか。いや、相手しだいで
は四、五人がかりでも負けるかもしれない。




「そんなことはない。必ず勝てる。いや、俺が勝たせてみせる」



 そんな圧倒的な戦力差を知りながらも、雄二はそう宣言した。




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