第9章 併合罪

(罪数)
1 単純一罪

2 包括一罪
(1)集合犯
ア 常習犯
イ 営業犯
(2)吸収一罪
ア 吸収される場合
イ 吸収されない場合
(3)同一法上内の異なる構成要件の包括
(4)接続犯
(5)判示方法
 包括一罪として業務上横領罪を認定した場合は,各個の使途及び費消金の具体的内容を証拠によって明確にすることは必ずしも必要でない(福岡高裁宮崎支判昭26年10月31日高刑判特19−163)。
(6)公訴時効の起算点
 包括一罪の公訴時効は,最終犯罪行為が終わったときから進行する(最判昭31年8月3日刑集10−8−1202)。

(併合罪)
第45条
 確定裁判を経ていない二個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

(併科の制限)
第46条
1項  併合罪のうちの一個の罪について死刑に処するときは、他の刑を科さない。ただし、没収は、この限りでない。
2項  併合罪のうちの一個の罪について無期の懲役又は禁錮に処するときも、他の刑を科さない。ただし、罰金、科料及び没収は、この限りでない。

(有期の懲役及び禁錮の加重)
第47条
 併合罪のうちの二個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

(罰金の併科等)
第48条
1項  罰金と他の刑とは、併科する。ただし、第四十六条第一項の場合は、この限りでない。
2項  併合罪のうちの二個以上の罪について罰金に処するときは、それぞれの罪について定めた罰金の多額の合計以下で処断する。

(没収の付加)
第49条
1項  併合罪のうちの重い罪について没収を科さない場合であっても、他の罪について没収の事由があるときは、これを付加することができる。
2項  二個以上の没収は、併科する。

(余罪の処理)
第50条
 併合罪のうちに既に確定裁判を経た罪とまだ確定裁判を経ていない罪とがあるときは、確定裁判を経ていない罪について更に処断する。

(併合罪に係る二個以上の刑の執行)
第51条
1項  併合罪について二個以上の裁判があったときは、その刑を併せて執行する。ただし、死刑を執行すべきときは、没収を除き、他の刑を執行せず、無期の懲役又は禁錮を執行すべきときは、罰金、科料及び没収を除き、他の刑を執行しない。
2項  前項の場合における有期の懲役又は禁錮の執行は、その最も重い罪について定めた刑の長期にその二分の一を加えたものを超えることができない。

(一部に大赦があった場合の措置)
第52条
 併合罪について処断された者がその一部の罪につき大赦を受けたときは、他の罪について改めて刑を定める。

(拘留及び科料の併科)
第53条
1項  拘留又は科料と他の刑とは、併科する。ただし、第四十六条の場合は、この限りでない。
2項  二個以上の拘留又は科料は、併科する。

(一個の行為が二個以上の罪名に触れる場合等の処理)
第54条
1項  一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
2項  第四十九条第二項の規定は、前項の場合にも、適用する。

第五十五条  削除

第10章 累犯

(再犯)
第56条
1項  懲役に処せられた者がその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときは、再犯とする。
2項  懲役に当たる罪と同質の罪により死刑に処せられた者がその執行の免除を得た日又は減刑により懲役に減軽されてその執行を終わった日若しくはその執行の免除を得た日から五年以内に更に罪を犯した場合において、その者を有期懲役に処するときも、前項と同様とする。
3項  併合罪について処断された者が、その併合罪のうちに懲役に処すべき罪があったのに、その罪が最も重い罪でなかったため懲役に処せられなかったものであるときは、再犯に関する規定の適用については、懲役に処せられたものとみなす。

(再犯加重)
第57条
再犯の刑は、その罪について定めた懲役の長期の二倍以下とする。

第58条  削除

(三犯以上の累犯)
第59条
 三犯以上の者についても、再犯の例による

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