第8章 未遂罪

(未遂減免)
第43条
 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

□最決平16年3月22日刑集58−3−187
 クロロホルムを吸引させて被害者を失神させ(第1行為),自動車に乗せた上で,水中で自動車ごと転落させて(第2行為)溺死させる計画を実行し,自動車に乗せた後で,水中に自動車毎転落させて(第二行為)溺死させる計画を実行し,その結果被害者が死亡したが,死因が溺死かクロロホルム吸引か特定できない場合において,第一行為により被害者を死亡させる認識がなかったとしても,第一行為は人を死に至らせる危険性の相当高い行為であるところ,第一行為は第二行為を確実かつ容易に行うために必要不可欠なものであり,第一行為に成功した場合,それ以降の殺害計画を遂行する上で障害となるような特段の事情はなく,第一行為と第二行為との間の時間的場所的近接性などに照らすと,第一行為は第二行為に密接な行為であり,第一行為を開始した時点で殺人に至る客観的危険性が明らかに認められるから,その時点で殺人罪の実行の着手があり,第二行為の前の時点で被害者が第一行為により死亡していたとしても,殺人の故意に欠けることはなく,殺人既遂罪が成立する(最決平16年3月22日刑集58−3−187)。

(未遂罪)
第44条
 未遂を罰する場合は、各本条で定める。

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