(正当防衛)
第36条
1項  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2項  防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

□急迫性 
 急迫性が認められないのは、積極的侵害の性質を帯びるからである
(1)過去の侵害
 侵害が既に過ぎ去っているときに急迫性が認められないのは当然
 侵害が過ぎ去ったように見えても、新たに侵害が加えられる急迫したおそれが残っているときには、急迫性が認められる
(2)将来の侵害
 侵害が現在し継続するおそれがあるという必要はない(将来の侵害でもよい)
 単に近い将来において侵害が加えられる蓋然性が高いというだけでは足りない
 侵害が間近に迫り、これを排除するためには、逃避を除くと、反撃に出るほかはないという緊急状態にあることが必要
(3)積極的加害意図
 単に予期された侵害を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、急迫性はない
(4)喧嘩闘争
 行為者が相手を挑発し、または行為者が相手の挑発に乗らなければ喧嘩闘争に発展せず、かつ、行為者がそのことを認識しながら挑発を行いまたはこれに乗った
 →相手の侵害行為は、行為者がこれを予期しつつ自ら招いたもので急迫性はない
(5)民事訴訟その他国の本来的な救済手段
 →私人の実力救済を認める必要がなく、急迫性はない
@ 借家人が明渡をしない
A 不動産の不法占拠
B 使用者が団体交渉に応じない
C 国家的、公共的法益の侵害

□防衛の意思
 判例は、防衛の意思と攻撃の意思との併存を認めるとともに、防衛に名を借りて積極的な攻撃に出た場合には防衛の意思を欠くとする
@侵害を認識していない    A明らかに必要のない過剰な行為の意図的な開始
B明らかに必要のない過剰な結果を意図的に与えるために行為を開始した場合

□相当性
 具体的な判断基準は、以下の3つを包括したもの
@防衛のため必要最小限度の行為
A防衛行為としての危険性が侵害行為としての危険性と著しく権衡を失していない
B防衛行為によって失われる法益が侵害行為によって失われる法益と著しく権衡を失していない

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