小説

□キミの記憶
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後悔なんかしたくない
絶対にやりなおせない事…認めたくない事なら尚更

しかし後悔というものは少なからず人生に付き纏うものだ…









【キミの記憶】










休日の朝方
外は雨
キョンは憂鬱な外を眺めていた

渇いた心に想い浮かべるのは
愛しい彼…



あの日…
ハルヒの精神状態が不安定だった
あの時…
俺がもしアイツを止めていたら…
自分の感じた嫌な予感を信じて『行くな』と言えていたら…


「…っ」


とめどなく流れる涙
それは後悔の涙
もう戻る事の出来ない過去
目を閉じて思い出せば
見えるのはいつも想ってくれていたアイツの笑顔…
最後に見た「行ってきます」と言ったアイツの姿…

でも

もうその笑顔を見る事は出来ない…
もう気持ちを伝える事すら許されない…



アイツを覚えているのは俺だけ
他の人間からはアイツの記憶が消されていた…
いたはずの存在を
世界は消し去ってしまった…



「……会いたいよ古泉…」


決して届かぬ願い
でも言わずにはいられない…
枯れる事のない涙を流しながら
祈り続ける
たとえそれが無駄な事だとしても…
愛しているアイツを
俺は永遠に待ち続けると決めたから…









休日の朝方の雨
それは彼の涙のように
止む事はなかった…



【終】

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