Novel

クリスマスプレゼント最終幕
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リスマスプレゼント


最終幕





(え……今のは一体なんだ……)



ロックはセリスが出て行った扉を呆然と見つめたまま固まっていた。
心臓がバクバク鼓動を打ってるのが耳についた。
指先を動かしたら軋んだ。

なんとか重い腰を持ち上げベットから立ち上がる。
そしてテーブルへ近づくと食べ物が詰め込まれている使い捨てお弁当箱が沢山並んでいた。

白い箱があり開けてみるととても小さなチョコレートのホールケーキが入っていた。
ジトールでもとても有名なケーキ屋さんのもので
実は今日セリスに用意していたのも同じケーキ屋のものだった。
種類はセリスの好きな生クリームたっぷりのイチゴのホールケーキだったのだが。



その隣にやけにデカイ箱が置かれていた。
(なんだ?)
包装紙を豪快に破って中身を開けていく。



――――――!!!!



驚きで目を見開いたままそれを凝視してしまう。
ロックがずっと欲しかった工具セットが箱の中に収められていた。


(こ、これ――なんで?!これがプレゼント?!!こんな高いものが?!
確か10万ギルはしたはずだぞ!)


こんな高額な物をプレゼントとして置いていったなど微塵も予想できるわけがない。
明らかに高すぎる。仲間にプレゼントを贈るにしても限度を越えている。
テーブルの端にメッセージカードのようなものが置かれているのが目に入りそれを手に取った


『Merry Christmas!! Lock
 以前ロックが欲しがっていた工具セットです。喜んでもらえるといいな。
 これで前に言ってたソファ作ってね。作った暁には一番に私に座らせてよ。
 これからもずっと一緒にいられたらいいな        From Celes』


(!!!!!嘘だろ??)


カードを持つ手が震え先ほどのセリスの言動がフラッシュバックする。



――だって……私、ロックのことが大好きなんだもの



セリスは涙を浮かべたまま切ない表情で震えながら一生懸命言葉を搾り出していた。
それなのに自分ときたら勝手にドラクゥとの熱愛報道を信じて嫉妬し
きつく八つ当たりをして傷つけてしまっただけだ。
不思議と先ほどのドラクゥとセリスのキスは頭の中から吹っ飛んだ。



(――セリス!)



勢いよく外へ出ようとドアノブを掴んだが踵を返し
ベットの上に転がっていた指輪の箱を慌てて拾い上げ
部屋を飛び出し急いでセリスの後を追った。



◇……◇……◇……◇……◇




外へ出ると身を刺す様な冷たい風が吹いていた。
周りを見渡すがセリスの姿はどこにもない。
既に12時前という深夜にも関わらず
クリスマスイブの夜は特別なのか、街中では沢山の人達が行き交っていた。
そのせいか中々町の雑踏に紛れてセリスの姿を見つけることができない。


懸命に走っているといつの間にか町の真ん中の大きなクリスマスツリーまで来ていた。
周りには沢山のカップル達が思い想いに甘い雰囲気を醸し出している。


その中に紛れて佇むセリスの姿をやっと捉える事ができた。
ツリーを見るわけでもなくただ地面を見つめているだけだった。




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