Novel

クリスマスプレゼント第四幕
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リスマスプレゼント

第四幕



12月に入り街はいよいよクリスマスムード一色になった頃、
セリスは眼鏡を着用し帽子を深々被り弾む気持ちで街中を歩いていた。
ここ1ヶ月でセリスの知名度はかなり上がっていた。

雑誌、テレビでのプロモーションに加え、
例のスキャンダルのせいで街中を変装しないと歩けないほどになっていた。


それでも練習の僅かな休憩時間を利用し一人夜の街へやってきた目的は


――工具セット購入


やっとの事で給料を貰えたので早速購入しクリスマスイヴの日に宿に届けてもらうよう手配した。
また、外でご飯を食べる事が知名度的にもその日のスケジュール的にも困難なので
部屋での食事にしようと部屋に届いたロックからのメモに書かれてあった。

その為団員の人から教えてもらった有名なケーキを予約した。
二人用の小さなホールケーキで、サンタクロースとクリスマスツリーの砂糖菓子が乗っているのがとてもかわいいのと
ロックが大好きなチョコレートケーキということが決め手で
考える事もなくすぐ決まった。
――ホントは今度こそ自分で作りたかったが流石に23日は公演中でそんな暇はないため泣く泣く断念した


着々と準備が整っていくことが嬉しくてたまらない。
ロックの喜ぶ顔を想像すると顔が綻ばざるを得なかった。。
現実味が帯び始め、日々日々クリスマスへのカウントダウンが始まっていく。



整っていないのは告白する為の――心の準備。



色々考えてみたもののいい言葉が思いつかず緊張だけが募っていく。


せわしなく人々が行き交う雑踏の中ふと足を止めた。
噴水広場へわざわざ寄り道したのだ。
そびえ立つクリスマスツリーを見るために。
久しぶりに外へ出たのですぐにオペラ座の練習スタジオに戻りたくなかったことと、
クリスマスに向けての街での高揚とした雰囲気を味わいたかった為。


(クリスマス、ロックと一緒にツリー見たいな。
告白するならここでもいいかも!でも夜でもかなり人いるな……)


う〜ん……と頭を抱えながら告白シュミレーションしつつ周りの人達の様子を見渡す。

誰も自分になど目もくれずそれぞれの目的に徹している。
せかせかと小走りで通り過ぎる者、
誰かと待ち合わせする者、
友達と楽しそうにに買物袋を両手に抱えお喋りする者、

そして――

身を寄り添ってしっかりと手と手を絡めクリスマスツリーを見上げながら
端から見ても満たされた想いが伝わってくるカップル。


(こんな風になれたら……)


ほのぼのした気持ちで街中のお店など視線を撫でていく。
それぞれのお店で個性溢れるクリスマスイルミネーションが競うように飾りつけられていて
とても街を華やかに彩っていた。

ふと、あるお店に目を向けると。



――あっ!!!!




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