Novel
□Love again -scene 4-
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Love again
〜last scene〜
「お疲れ様!!」
皆、酒屋からわざわざ仕入れたお酒を手に持ちながらそれを一斉に掲げる。
酒を飲むため辺りが一瞬静かになった。
「いや皆ご苦労さん!ホントよく頑張った!!」
ジェフリーがそう大声で言うと拍手が沸き上がった。
私達町のボディーガード達は今、街の会館に打ち上げの為集っている。
平和祭が昨日で終わり、祭の警備お疲れ様会と――私の送別会も兼ねている。
あれから……あのアルフレッドのキスから勿論酒屋には1度も足を運んでいない。
ロックへの想いが自分の中で中途半端なまま明日私はサウスフィガロを発つ。
「にしてもセリスはよくやってくれたよ」
仲間のうちの一人がそう言った
「そうだな…お前めちゃめちゃ働いてくれたな」
あのキスの後色々な想いが頭を交錯し何も考えたくなくて仕事に精を出した。
休む事なく働いて宿屋に帰って泥のように眠る。そんな日々を過ごした
「ううん……私ほらアルフレッド怪我させちゃって迷惑かけたしそれぐらいは当然よ」
「確かにそうだったけどでも……正直見直したぞ。お前の働きっぷりには」
他の仕事仲間がうんうんと頷く。
前に座ってるジェフリーがその言葉に反応して口を開いた。
「なかなか根性あるよ。お前は」
嬉しくて思わず笑顔になってしまった。
誉められる為に一生懸命働いていた訳ではないがそれでも嬉しかった。
皆に女だからダメなんて思われていたが少しは認めてもらえたのだ。
「ありがとう」
精一杯の笑顔で頭を下げ仲間達の酒の勧めにどんどん応じて飲みに走る。
こんなに楽しいお酒は本当に久しぶりだった。
◇◆◇
打ち上げが終わり外に出てみるともう11時半を過ぎていた。
店に入る頃はまだ赤みがかった空だったのに今では満点の星空が夜空を彩っている。
外の風を思い切り深呼吸で体へ取り込む私にアルフレッドが声を掛けて来た。
「大丈夫か?セリス……」
「うん、大丈夫!ちょっと飲んじゃったけど全然」
「そっか、……でも危ないから送るよ……」
その瞬間仲間たちの喧騒の中、私とアルフレッドの間だけ時が止まったかのように思えた。
私を真っ直ぐ見つめる真剣な瞳から別の真意が伝わり静かに頷いた。
「そうだアルフレッド!ちゃんとセリス送ってやれ!」
酔っ払った仲間の声に慌てて我に返る。
すっかりお酒も入った仲間たちが騒がしく私を取り囲み握手を求められる。
次々と出てくる別れを惜しむその言葉に胸が熱くなった。
短い間ではあったが共にしてきた仲間だったのだ。
「ホントにみんなありがとうね……」
「セリス、また一緒に仕事しような!」
「元気でな!!」
一斉に仲間たちが手を振ったので私も一生懸命皆へ手を振り返す。
帰り道を歩きながら何度も振り返って。
仲間たちの姿が見えなくなると、隣を歩くアルフレッドに歩調を合わせた。
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