Novel

Love again -scene1-
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ずっとロックの事が好きだった。
だけどロックは優しかったが私の事を仲間以上に見てはくれなかった。
ケフカを倒して皆それぞれの地に帰る時、パーティーの中の何人かはドマの復興を手伝おうとした。
そのメンバーにロックも含まれていた。

パーティーが別れる夜、旅の道具を整理していた時たまたまロックと二人きりになり
「セリス……」
そう声をかけられた時その声色が真面目だと感じとても緊張した。

そして期待した。
もしかして何か言ってくれるんじゃないかと。
ドキドキしながらロックの方を見た事を今でもはっきり記憶している。

しかしロックはこちらには目を向けず荷物を整理をしながら軽くこう言った。



「これからどうするんだ?俺達ドマで復興作業手伝おうと思ってるけどお前も来るか?」



その時はっきりとわかった。
ロックに仲間としてしか思われてなかったということを。
本気でついて来て欲しいならロックはそんな言い方はしない。
いつも真っ直ぐで直情的な彼が何か用事をしながら軽い口調で誘うなんて事するはずなかった。
本当に着いてきてほしいと思ってるなら尚更だ。

落胆した私は

「……シドの事もあるから私は止めとくわ」

そう暗く呟いた。
確かにシドの事があったのも事実だが殆ど口実に過ぎなかった。

一瞬静かな部屋に片付ける音だけが響いたが、その後

「そっか」

対してショックを受けた様子でもなく簡単にそう呟くとそれ以降特に何も言ってこなかった。






こうして私の初恋は終わった。
長かった髪の毛をバッサリ切った。
ロックへの想いを断ち切るかのように。
初恋は実らない……何かの本にそう書いてあったが本当にそう思う。
私は恋愛の仕方をよく知らなかった。
何か魅力があるわけでもなく女らしいわけでもなく
ただ世間知らずな私。
ロックに女として見てもらえなかったのも当然だ。
だからと言って今も恋愛の仕方がわかってるわけではないけれど。

1人で旅するようになって沢山の人に出会った。
何人か恋人もできた。だけど何故か上手くいかなかった。
どうしてなんだろう…。
本気で人を好きになれない。
いつもそれの繰り返しで相手に愛想を尽かされるか私が申し訳なくて別れを切り出すかそのどちらかだ。


私の恋愛の扉は閉まりっぱなしなのだろうか…?


人を好きになりたい。
ロックの事を好きだったように…。


ドマに立ち寄った時ひょっとしたらロックに会えるかもと思った。
しかしある程度復興を手伝った後旅立ったようで会えなかった。
何処へ行ったのかはわからなかった。
なぜかガッカリした。
会いたかったのだろうか?
もう終わってしまった、もう過ぎ去った恋なのに。


ふっと笑ってしまった。


(何考えてるのかしら…。
久しぶりにサウスフィガロなんて来ちゃったからつい感慨深くなっちゃったのね。
ロックの事思い出して)

今ではすっかりミディアムヘアになった髪の毛にさらっと手櫛を通す。
重い腰を持ち上げ立ち上がった。

まだ正午前。
急げば夕方までには町に着けるだろう。
今日は野宿したくない。ベッドでゆっくり寝たい。


(さあ!下り頑張ろうっと!)


意気込んで出発した。






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