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Drug of LOVE【前編】〜 episode1 モテる男はつらいぜ〜
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Drug of LOVE
【前編】

episode1
〜モテる男はつらいぜ〜








「はぁ―――っ・・・・」


俺は無意識に溜息を吐いていた。
幸い周りには誰もいない。
ここはとある街の公園。一人ベンチに寝転んでいた。


旅に必要な物を補給するため飛空艇でやってきたのは今朝。
とりあえず疲れを癒すため今日はそのまま休む事になった。
というわけで飛空艇みたいな狭い所にいたら気がますます滅入ると思って
街へと一人ブラブラとやってきた。
何に滅入ってるかって?



それは――――――――セリスの事。




俺がパーティーに戻ってきて1ヶ月。
その間セリスと二人きりになろうと幾度となく努力してきた。が、上手くいかなかった。
それでも偶然2人になるというチャンスは何度かあった。
しかしセリスはぎこちなく何かしら理由をつけて俺から去っていくのだった。


そう…平たく言えば俺はセリスから避けられている。
皆がいるときは普通に俺に接してくれる。
でも俺と二人になると…。

あの俺を拒絶するような瞳…。
思い出すだけでどんどん凹んでくる。

皆が打倒ケフカと奮起している時に自分勝手に昔の女のために秘宝を探していたせいか…
過去を振り切っていないくせにセリスへの想いだけが募って
中途半端な態度を取っていたせいか…。
理由がありすぎてわからない。
セリスに嫌われる事しかしていない気がする。





「はぁ――――――――――っ」



気が付いたらまた大きな溜息をついていた。
飯でも食うかか…そう思って起き上がった。





「若いにーちゃんが何だね。昼間っぱらから大きな溜息なんてして」


一人だと思っていたのに声がして俺はびっくりして周りを見渡した。

すると2メートルぐらい先に一人の婆さんが地面に座っていた。
婆さんの前には大きな風呂敷が置いてあって
その上に妖しい色のした液体が入った小鬢やら、変な木の人形やら、
曲がりくねって柄に理解不能の動物の絵が入った剣など
よくわからないものが沢山置いてあった。


なんだ?道具屋か?つーかさっきまでこんな婆さんいたっけ?
周りが見えないほどセリスの事しか頭になかったのか…俺。かなり重症だな…


「陰気くさいねぇ〜。こんなに天気のいい日に」


馴れ馴れしく婆さんがそんなこと言うものだから
「うるせぇなぁ」拗ねたように言葉を漏らした。子供か?俺は。


「その様子から見ると恋煩いだね」


ニヤッとしながら婆さんが言った。

何でわかった!?

驚いた表情を浮かべてると婆さんはケラケラ笑った


「全部顔に出てるんだよ」


うっ!何て単純なんだ…俺は。つーか笑うなよ!
婆さんの笑い声が耳について馬鹿にされてるように感じ、悔しかった。


ムッとしながら無視して通り過ぎようと歩き出した。




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