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The departures〜すべての始まり〜
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The departures
〜すべての始まり〜









〜〜空に広がる無数の星達。お願い教えて。私はどうしたらいいの?〜〜

      


なかなか寝付けない私はふらりと部屋を飛び出し廊下の窓から空を見上げた。
月明かりの明るさのせいか遠くの砂漠が綺麗に映し出されている。


星空見たいな…。


そう思った私は誰もいない台所へ行くとココアを入れて2階テラスへ出た。
一瞬風がびゅぅと音をさせて通り抜けた。
砂漠の夜は冷える。身震いがしたのでココアを口に含む。
あったかい。
空を仰ぐと星達がキラキラと眩く私を見下ろしていた。とても穏やかな雲一つない空だった。昨日までとは違う。




私達は今日長年の本懐を遂げたのだ。
瓦礫の塔にいたケフカを倒した。人々を脅かしていた悪の種が消えた。
皆手を叩き抱きしめ合い泣いて喜んだ。
蘇った世界を飛空艇で飛び回った後、フィガロ城へ戻り凱旋祝賀パーティーを開きそれは夜中まで続いた。
日が変わる頃にやっとお開きになり眠ろうとベットに入ったが
お酒を飲んでいたにも関わらずどうしても眠れなかった。
戦いの勝利に興奮したせいか…仲間達と心から笑い合い騒いだせいかそれとも…


これからの事を考えて眠れないのか……





テラスの縁にココアを置いて体も預けた。
遠くで人々が騒ぐ声が聞こえる。
目線を外へ向けるとフィガロ城入口の門兵達が異常がないか見張りながらも興奮しながら会話しているのがわかる。
ぼーっと見ていたら兵士達が私に気付き小走りで近くまでやってきて顔を上げた。


「どうしたんですかー?」
「何でもないの!何だか興奮して眠れなくて」
「ですね−。ホント喜ばしい事ですよ!
ホントは仕事なんて投げ出して今から飲みに行きたいとこですよ」


心からの笑顔に嬉くなりつつも私は浮かれ気分の兵士達が可笑しくて軽く笑った。


「あら…エドガーに言い付けるわよ」
「うわうわ……勘弁してくださいよー」


慌てた様子を見せたがそれさえ笑みを抑え切れていない。


「では!任務に戻らせてもらいます!セリスさんも早くお休み下さいよ」
「そうですよ。明日皆それぞれの故郷へ帰られるですよね」
一瞬笑ってる表情を崩しかけたが
「そうね。ありがとう。それじゃ仕事頑張って!」


そう言うとマグカップを手にし、テラスを後にした。
が、部屋には戻る気になれず階段を登った。
前にエドガーに教えてもらった城の1番高い塔へ向かっていた。
こんなんじゃ眠れない。






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