スパイラル〜another〜

□前を向いても確かに後ろはあるから
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目が覚めると、温かい日差しが俺を照らしている。 情けなくも体が重い。
無理矢理体を起こして、窓の外を見る。
「もう、冬か」
ポツリと言葉を発すると、白い息が出る。

相変わらずベッドの横に置いてあるピアノ。
黒く光るそれは、妙に綺麗に見える。
兄貴が持ってきた時に、相当古いものだと言っていた。いや、だからこそ良い音が出るのだろう。
蒼香さんもこの音に惹かれて・・・


「−・・・結局、俺にはピアノしかないな」
ふ、と笑みを浮かべ、ピアノを撫でた。
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