スパイラル〜another〜
□優しい協力者
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「お久しぶりです。鳴海さん」
ドアを開けたその先に、彼はいた。
前よりも弱々しい体つきだが、生きている。
その事実だけで充分だ。
「後にしてくれ。今忙しいから」
つれない態度は相変わらず。
私がそう言って、ピアスを渡そうとしたのを振り切って、ピアノをいとおしそうに見た。
「一つ、聞いてみるか?」その言葉に一瞬戸惑ったが、笑いながら言った。
「そうですね。鳴海さんがどうしてもとおっしゃるなら」
彼は、私の答えを知っていたかのような笑みをこぼした。
「じゃあ、“どうしても”だ」
二人の道は、繋がった。 繋げたのは、優しい協力者と優しいメロディ。