「スコール」

なんてことない昼下がり。
いつものように餓鬼んちょオニオンや脳内餓鬼んちょ20歳バッツの相手をしていた所、ジタンが俺の名を呼んだ。

「なんだ?」

「ちょっと…来て欲しいんだけど…。」

だるそうに頭をかいてみたが、実は内心期待していたりする。何故ならそう呟くジタンの頬が少し赤くなっているからだ。

「よかったなー」「行っておいでよスコール!」などと冷やかしの言葉も飛んでくる。しかし冷やかしの言葉と共に妬みを帯びたプチメテオやソウルイーターが飛んで来るのは何故だろう。
ウザいのでとりあえずエアリアルサークルで一掃。

「ほらっこっち!!」

俺の裾を小さく摘んでくいくいと引っ張る仕草がとても可愛いらしくて思わず笑みが零れた。気持ち悪い顔をしていなかった事を祈る。

そして連れて行かれたのは見晴らしの良い次元城。
うん。実に良い場所だ。
そこら辺から先生がガシャガシャ鳴らして歩いて来なければ。

俺がその場に腰を下ろすと、ジタンも俺の横にちょこんっと座った。ああ可愛い。誰の言葉だったかはぐはぐぎゅーっとしたくなる。

「で…さ、あの、すこー、る?」

ジタンは気恥ずかしさを紛らわす為か、身体をゆっさゆっさ揺らしている。

「なんだ?」

ポーカーフェイスを装っているが、正直これが精一杯。
今直ぐにでも手が出そうだがぐっと我慢だスコールレオンハート。

「あの、さ…………」

中々言えないのか口をもにょもにょさせている。その仕草にやたらと期待が高まる俺だった。


「…ぎゅってして、いい?」




ぱどぅん?

いつも口を開けば憎まれ口ばかり叩くジタンが発した言葉は、軽く萌え死ねるものだった。
どうしてしまったジタン。
悪くないぞジタン。

「…しょ ウがなイな」

クールに決めようとしたが少し片言になってしまった。残念。

「へへっ、失礼しやーす♪」

もふっ
ジタンは俺の腰に腕を回し、腹に顔を埋めた。すーと息が聞こえる。どうやら匂いを嗅いでいるようだ。

たまらずジタンの柔らかな金髪をくしゃくしゃと撫でると、少し嬉しそうに声を漏らした。

本当どうしてしまったジタン。

とうとうデレのターンがやってきたのか。しかし随分長いツンだったな。

只今スコールの脳内は、今のジタンがデレのターンだとしたらこのまま押し倒したとしても、少し恥じらいはするものの受け入れてくれるだろうか。などとむっつり全開だった。


「あの、さっ」

しばらく俺の腹でうにゃうにゃしていたジタンが口を開いた。

「俺…スコールのこと、大好きだからっ」

笑顔でそう言うジタンの顔は真っ赤だった。何故今そんな事を言う。例えるなら今の俺の理性は誰も回していない皿回しの皿、いずれ落ちて壊れてしまう。

「ジタン…後悔しないな?」

「えぁ?」

スコールはゆっくりと、冷たい床にジタンを押し倒した。

「ぇ、あ た、たんまっ!!!」


「、ぇ」

「そこまでー!!」
柱の後から出て来たのは、さっき戦闘不能になった筈のオニオンとバッツだった。

いまいち状況が掴めない。

何故今お前らが出て来るんだ。

2人はにやにやとむかつく笑みで、硬直している俺の元に走り寄って来た。

「今日は!4月1日だよ!」

誰も日付など聞いていない。4月1日だから何







「今日じゃなかったら誰がスコールなんかにべたべたするかよっ!」

ジタンは俺の腕をするりとすり抜け、憎たらしい笑みで俺を睨んでいた。

「…お前ら…」

死なない程度に殺してやろうかと思った…あれっ日本語おかしい。死なない程度に半殺しにしようかと思った。(ジタン除く)

「あっるぇーこんな嘘に喜んででれでれしてたむっつりは誰かなーぁ」

しかし俺が構えるより先に言葉のナイフが飛んで来た。痛い。これは痛い。









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