ハイキュー!!

□目は口ほどにものを言う6
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国見と喋らなくなって一週間が過ぎました。





目は口ほどに物を言う




相変わらず、電話やメール、LINEが来ているが、全部、怖くて出られない、見られなかった。
なんて書いてあるの?
どんな内容なの?
どんな声で私の名前を呼ぶの?
正直、楽になりたかった。
上手く消化できない感情が喉に詰まっているようで、ずっと微熱のような気だるさが身体にまとわりついている。
なんとか気力だけで学校にいく。
幸い私は前の方の席だから、国見は視界に入らない。
それだけが救いだった。
クラスメイトたちも2人のことだからと腫れ物のように触らずにいてくれた。



職員室から教室に戻る時だった。

「なまえちゃーん!愛しの及川さんだよー!」

渡り廊下の真ん中で及川さんが両手を広げて抱きついて来いと待っている。
わざとその横を通り過ぎて後ろに隠れている岩泉さんの前に立った。

「…岩泉先輩、こんにちは!」

「おう!元気にしてるか?」

腕組みして壁にもたれかかって居た体勢から、体を起こして真っ直ぐ立った。

「元気ですよ!」

見上げればホッとするような安心感があった。中学の時から、何かと及川さんの盾になってくださる優しい先輩だ。

「嘘つけ。お前の作り笑いなんて見飽きてんだよ。」

岩泉さんの右手が私の左頬を軽く摘んで放す。

「ぃ、…岩泉先輩かっこいい!及川さん、見習ってください!」

ずっと放置するのも可哀想なので及川さんも話に入れてあげた。

「ひどいよ!岩ちゃんも、なまえちゃんも!」

ずっと両手を広げて固まっていた及川さんはくるりとこちらを向くように反転して後ろから抱きついてきた。

「国見ちゃんと何かあった?」

耳元で囁かれた言葉に硬直する。
助けを求めるように目の前の岩泉を見るが、深刻な事のようで及川の顔を掴んで私から引き剥がそうとしてくれてはいるけれども、国見とのことを聞きに来たことは理解できた。

「あいつ、今不調なんだけどよ。お前、原因しらねーか?」

「…別れたんで、よくわかりません。」

「え!?」「はぁ?」

「だから、もう別れたんで、関係ありません。」

2人は唖然としている。
バレー部の仲間内ではどんな話がされているのかは全く分からないから、なんともフォローしようがないが、まだ自分の気持ちの整理もつかないうちに相手の心配なんてしていられなかった。

「まぁ、お前がそう言うならそうなんだろうけど…あんまり無理するんじゃねーぞ?」

「そうそう、ちゃんとご飯食べて、いつもみたいに可愛い笑顔見せて。」

岩泉さんと及川さんにはバレバレなのか、最近ご飯があまり喉を通らない。
だから、顔色も悪い。
及川さんは制服のポケットに可愛いらしい包み紙で彩られたキャンディーとチョコレートを。
岩泉さんからは、さりげなく手渡されたカロリーメイトを受け取れば、岩泉さんは私の頭を軽くポンポンと叩いて及川さんの首をつかんで行ってしまった。

「わたしが、フルーツ味好きなの、覚えててくれたのかな?」

岩泉さんは優しい。
きっとお兄ちゃんが居たら、岩泉さんみたいな人がいい。
及川さんはチャラいからだめ。
でも、心配してくれる2人の気持ちが暖かくて、心がポカポカしてきて、少しお腹がすいた。
カロリーメイトを食べると、少ししょっぱかった。
頬を伝う涙を拭って、深呼吸する。

大丈夫!
大丈夫!
大丈夫!
頑張れ、私!


(20141030)


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