ハイキュー!!

□君に近づけない
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「及川。」

なまえちゃんは俺のことを必ず苗字で呼ぶ。

酷くもどかしい距離感を感じさせるように、一線を引いて接するのだ。






君に近づけない






去年は同じクラスで席もとなりだった。

時々教科書を忘れたフリをして、机をくっつけた。

少し嫌そうに距離を取るなまえちゃんにグイグイ近寄って行った。

わざと顔を近づけて、気付かないフリをしたり。

眠くてうとうとしていると見せかけて寄りかかったり。

ホント、思いつく限りいろんなことをした。





そうしているうちに、「及川君。」が「及川。」になった。

少し、呼び方が、幼馴染の岩ちゃんの呼び方に近い気がした。

折角親密度があがったと思ったのに、波に乗り切れない。

その先になかなか進めない。

「徹。」そう、呼んで欲しいのに。






岩ちゃんと2人で部室に向かっているときだった。

「ぁっ!・・はじめ!」

「なまえ?どうした?」

後から、毎日聞きたくて姿を探しているなまえちゃんの声がした。

でも、呼んだのは、俺の隣に居る岩ちゃんだった。

「昨日の委員会の資料!忘れて行ったでしょ?

これ教室に掲示しなきゃいけないやつだから、はい。」

一枚のプリントを手渡す、手が、震えていた。

そのプリントは端が少しクシャリと皺がよっていた。

緊張?

岩ちゃんに?

すぐになまえちゃんの顔を見た。

―――俺に見せる顔とは全然違う。

今までたくさんの女の子たちが俺に向けていた表情を

なまえちゃんは、

岩ちゃんに向けていた。

じわりと胸に広がる冷たさ。



そうか。

そうか。

この感情は・・・






「なまえちゃん!」

「な、何!?」

なまえちゃんの手を引いて走り出す。

「おい!クソ及川ー!」

「ごめん岩ちゃん!先に行ってて!」

今は岩ちゃんに構ってあげてる余裕は無い。





ねぇ

どうして、俺じゃないの?

そう、思ったってことは・・・


急に走るのをやめて振り返り、息絶え絶えななまえちゃんを抱きしめた。


「岩ちゃんは、

岩ちゃんは鈍感だから、

きっとなまえちゃんの気持ちに気づかないよ!」

「しっ、てる。

もう、片思い歴長いんだから。」

抱きしめた腕を緩めると、顔を真っ赤にしたなまえちゃんがいた。

なまえちゃんの目から、ポロリと一滴、涙がこぼれた。

そんな顔、俺のせいじゃなくて、岩ちゃんのせいでするなんて。

胸のざわめきが酷くなる。


あーやっぱり、

俺も大概鈍感だから、この気持ちにやっと気づいたよ。


「俺、なまえちゃんが好き。

岩ちゃんなんかより絶対いい男だって証明して見せるから、、、

覚悟しといて。」

ありったけの強がりと挑発を込めて、

跪いてなまえちゃんの掌の上にキスをした。








掌の上のキスは“懇願”




(20141007)






 

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