猫物語

□月と猫
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今日は中秋の名月らしい。

といってもあいにく雲が掛かって月は出ていなかった。

月見の散歩と称して家の中から女の子とその子の母親が出てきたが、目的の月が出ていないので悩んでいた。

その内ポツリポツリと雨も落ちてきた。

母親は家に入ろうと言ったが私に気付いた女の子が一緒に散歩する?と聞いてきた。

何のことかと考えていると女の子は勝手にタマちゃんも散歩する、と歩きだした。

女の子は明かりの代わりに沢山の光るオモチャを腕にぶら下げ、私に時折それをちらつかせて急せた。

女の子の母親が先頭を進んで、私はその先を行っては立ち止まり女の子が来るのを待っては走るを繰り返した。

この辺は毎日歩く私の散歩道なので何も問題はなかった。

人間の歩調にあわせる事がもどかしいとさえ感じるくらいだった。
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