じんしょん

□臆病者
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少し眠そうな声。

「あ、もしもし!俺、ヘソンだけどー。」

「…わかってる。どうした?」

「寝てた?エリック」

「…寝てた」

「今から俺んち来いよ。美味い夜食食わせてやるからさ」

「ヤダ。俺、眠いんだって言ったろ!?」

「いいじゃん。上がって来るだけだろ。来いよ!」



俺がエリックの住んでいたマンションの上の階に引っ越して来てから、こうやってエリックを呼び付ける事が俺のストレス解消になっていた。


ジニに浮気の兆候が現われる度に、俺は無性に料理を作りたくなるらしい。

アイツは上手く隠してるつもりらしいが、元来嘘が下手だから、
俺ですら気付いてしまう。



料理は元々嫌いじゃないし、苦でもないから集中してしまうと、
食べ切れないくらいの量がテーブルを埋める。






ここに引っ越す前は、仕方なく処分していたが、棄てる度に胸が痛んだ。
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