みんしょん2
□An opening
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取引先の会社にいたのがヘソンだった。
うちの会社が納める商品が、納期に間に合いそうもなく、
詫びに出向いた先に居たんだ。
ヘソンも俺も上司が一緒だったけど。
それまで声だけは知っていたから、初対面って気はしなかった。
この時、こっちはただ頭を下げるだけだったから、ひたすら
謝ってた記憶しかない。
話らしい話はしなかった。
それから、暫らく経った頃。
俺は馴染みの店に顔を出した。
表通りから外れたこの店は、客も従業員も男しか居ない。
ようはそっち系の人間が集まる店で。
俺みたいなサラリーマンでも気兼ねなく顔を出して
静かに飲める店。
まあ・・客同士が意気投合すれば、そのまま消えても、
別に店が斡旋しているわけじゃないからマスターも見てみぬフリ。
断られたら、しつこくしない。
そういうルールが暗黙のうちに出来上がって。
男にしてはガタイがデカくない俺は、ネコと間違われて声を掛けられることがある。
別に相手を探すために来ているわけじゃないから、無視してたらその内、声を掛けてくる奴もいなくなった。