じんしょん
□KOGAREBITO
1ページ/36ページ
夜と呼ぶにはまだ早い中途半端な時間。
約束の時間より早めに着いたチョンジンは、この店の
お気に入りの席に座った。
入り口が見渡せる席。
こうやって待ち人を待つなんでもない時間が好きだと思う。
どんな顔してくる・・・
どんな服で・・・。
今日のご機嫌は・・・
こんな事を思いながら好きな人を待っていると
時間だってあっという間に過ぎていく。
太陽が傾き始めると、それまでブルー一色だった空の色が
オレンジ色に変わって、そしてグレーへと移り始める。
通りを走る車がライトを点けだした頃、お気に入りの帽子を
目深に被り、コートのポケットに手を突っ込んで歩いてくる
ひょんが見えた。
少し猫背気味な姿勢は相変わらずなんだ・・・。
そうやって下向いて歩いてばっかだから俺が見てる事に
気が付かないんだよ。
俺はいつだって見てる。
いつだって・・・・。
だから、ひょんの事、きっとひょん以上に分かっちゃうのかも。