みんしょん

□I wish side M
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SIDE  M





なるべく人目につかないように、目立たないようにして

俺は時間まで待った。

逢いたい気持ちがいつにも増して、自分の行動を

忙しなくさせていることに戸惑う。

もともと時間にルーズな方ではないが、今日は予定よりも

だいぶ早めにここに着いてしまった。

俺は到着予定のパネルがパタパタとひっくり返るのを見て、
腕時計で時間を確認した。

あと20分か・・・。
どうすっかな・・・ちょっと早かったみたいだよな・・。

俺は一人ゴチて、ハアっと小さくため息を吐いた。


約2週間ぶりだな・・・。

迎えに着たなんて分かったら、後が大変かもな・・・。だけど、
グループとしての活動がない今は無理してでも機会を作らないと逢えない。



最初の1週間はなんとか乗り切れた。仕事が立て込んでたことも
幸いしてアイツを思い出すことは、家に帰った後だけですんだ。

あいつの残り香を抱いてベッドにダイブしてた。
枕に顔を埋めて眼を閉じるとあいつの白い肌が現れる。
俺を翻弄する甘い匂い。
同じものを使っているのに、何故かあいつはいつも
甘い匂いがした。鼻から吸い込むとそれは俺の脳を刺激して
おれ自身を奮い立たせる。

あいつがいない間、この匂いで自分を慰めた。

出掛ける前の晩、声が枯れるまで啼かせ、白い肌には俺の印を残してやった。

・ ・・・もう・・・だ・・・達か・・せ・・・


自分があんなに意地悪くなれるんだって、思った。
俺を置いていくあいつを懲らしめたくて、俺の躯から離れられないように
仕込みたくて・・・。

あいつを握りこんで極限まで追い込んだ・・。

繊細なのに無神経なあいつ。
寂しがりやなのに素直じゃないよな・・。


あいつの口から紡がれる声を俺はヤッてる最中でも
冷静に憶えようってしてた・・。

愛してる?

俺が欲しい?

俺と離れて平気か?


焦らされて、追い込まれて、攻められて・・・

そうでもしないとあいつは言わない。

・ ・ううん。そうじゃないな・・。

俺がそういうあいつに仕込んでやった・・。


だって・・。

俺だけが置いてかれて、淋しいのって馬鹿みたいじゃないか!

あいつの性格は分かってる。
恥ずかしがりやで、すぐ顔を真っ赤にする。

プライドが高いくせに自分に向けられる他人の気持ちには
無頓着。

俺だけが必死になってる気がして、情けないって思うけど・・。

それでも、やっと手に入れたあいつだから。
押しに弱いあいつにつけ込んで、俺の方を向かせたんだ。

誰にも渡したくなくて。


俺のほうから始めた関係。
俺が告って、押して押して押し捲ってあいつを堕とした。

だからかもな・・・

時々不安になる。
あいつの気持ちがどうなのかって・・・
聞きたくてしょうがなくなる。

心と躯。どっちも俺のものなのかって確かめたくなる。



俯いて足元をじっと見つめていた俺は、構内アナウンスにハッとした。

いつの間にか時間が経ってた。
ウジウジしてるなんて、らしくない。


帰ってきた早々、剣呑な眼で見られるなんてごめんだ・・!
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