通り道
□An Intersection
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<An Intersection> (交差)
“ピンポン。ピンポン。ピンポン”
さっきから鳴り響く玄関のチャイム。
鳴らしているのは、ジニ。
「今日、行ってもいい?」
仕事が終わって、楽屋を出る時、ジニから訊かれて。
予定がなかった俺は「いいよ。」と答えた。
その時のジニの顔が幸せそうに笑ったのが印象的だった。
ジニの俺への気持ちに、薄々気づいてはいた。
日頃から俺のそばを離れないし、俺の我儘にも嫌な顔ひとつしない。
だから、俺はイケないって思いつつ、ジニをそばに置いておいた。
俺達二人をミヌが睨んでいることを百も承知で。
すれ違ってばかりで。
まともに声すら聞けなくて。
ミヌの部屋で待っていても、帰って来なくて。
逢いたいよ・・・。
伝言を残しても、返ってこない。
だから、おれはちょっとだけジニに逃げた。
ジニは優しいよ?