みんしょん3
□禁忌 5
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服を着替える度に視界に入る赤い痕。
あの日、俺をさんざん抱いたミヌは、拘束を解いた手首を優しく撫でてくれた。
目を閉じて手首を唇に寄せる姿は、綺麗だと思った。
俺と同じ男だとは思えない逞しい体格。
均等の取れた筋肉が、羨ましいとさえ思う。
時間が経てば、痕は色が薄れて目立たなくなるのに、
あの日の事は鮮明に思い出す事が出来る。
何に怒っていたのか、分からない。
ただ、いつものミヌとは違っていた。
少し暴力的な扱いで俺を抱いたのに、それすらも快感に変わった。
俺をなじる言葉は一言もなかったけど、ミヌの目付きや指から伝わってきた。
通勤途中でも、仕事中でもお構いなしに、俺の脳裏にはミヌが浮んでくる。
知らず知らずに吐息とも思えるため息を吐いてしまう。
いつから俺はこんないやらしい身体になってしまったんだろう。
体内に燻る熱を持て余してし、つい、手をのばしそうになる。
一人になると、意識しなくてもそのことで一杯になってしまうんだ。
頑丈な鍵で開かないように扉を閉めていた筈だった。
普通じゃない自分を必死に隠してきたのに、
最近は、もうどうでもいいと思い始めている。