みんしょん2

□Kiss.Kiss.Kiss
1ページ/2ページ

例えば、喧嘩をしても。例えば、すれ違ったとしても。

俺達はだいじょうぶ。

普通の恋人同士のようには出来ないけど、だいじょうぶだって自信はある。

普通って言い方は気に入らない。
俺達がそうじゃないみたいでイヤだけど。

だけど、そんな事を気にする事すら、バカらしいって思える。


すれ違いだって、楽しまなくちゃ。




ある日。
珍しく仕事が早く終わったミヌは、最近まともに逢ってない、ヘソンのとこに顔を出してみようかって思った。

ヘソンはどうだか知んないけど、俺はヘソンのスケジュールは把握している。

「今日は歌の収録だから、TV局に缶詰だったよな。差し入れでも
持ってってやるかな。」




地下駐車場に車を置いて、通い慣れた通路を通り顔馴染みの
警備員に軽く挨拶をした。

差し入れの入った袋が意外にガサガサと五月蠅くて、
ひっそり来ようと思ったもくろみは外れてしまった。

すれ違う仲間を躱しながら、楽屋へと向かう途中で、
ヘソンのマネージャーを見つけた。

「グットタイミングですね、ミヌさん」

そう言って苦笑いをするマネージャーは、「中に居ますよ。」
と楽屋のドアを開けてくれた。



ドアを開けた先には、TVの前に仁王立ちして突っ立っているへソンが居た。

画面には先週ミヌと一緒に出演した番組が映っていて、へソンは自分チェックの
真っ最中なのだ。

口に手をやって指先で唇をなぞり、目は画面から離さない。
弄ってばかりいるから乾いてきた唇を舌先でチョロっと舐める。
ほとんど無意識の行動。


舐めるから余計に脂分が無くなって、カサカサになる。


ミヌはへソンの背後に近づき、TVのスイッチをいきなり切った。


一瞬の間のあと。

「おい!・・・ったく!」
へソンの声と一緒に足蹴りが跳んできそうになり、壁の方へと避難するミヌ。

だけど、その顔には悪戯な笑顔が浮かんでいた。


「何すんだよ・・ミヌ。っていうか・・お前仕事は?」

そう訊きながらも視線はTVを向いたまま。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ