屍鬼の二次創作(小説)

□憎しみの帰郷、暗闇の居住者
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家にやっと着いた。
柏木家は母と姉が二人で住んでいた。

ーー今日からは三人だ。

戸を叩くと中から姉が
ーーー澄子が出てきた。
「あ……梢…」
「…ただいま。」





「よく帰って来たわねぇ…仕事はどうするの?」
そう母である貴子は尋ねた。
父が事故で死に、その保険金で自分の上京を助けてくれた。
けれども一番、上京を反対したのは貴子だった。
今も心配そうに自分をみている。
「…仕事の失敗で帰って来たんだからもう少し気を利かせてよ、もう…」
「そ、そうね、ごめん。…でもお母さん、安心してるんだ。梢が上手くやっていけてないのすっごく澄子と心配してたし…」
「そうそう、言っちゃ悪いけど一安心ってとこ。」
「…帰って来たくなかったんだけどなぁー。こんな村。」

やはり、私は外場の人間なのだ。
生まれた場所が、周りの山に囲まれた外場と言う牢獄で、死ぬまで…いや、死んだ後も牢獄の下に埋められる。
そんなイメージが梢の中には広がっていた。
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