屍鬼の二次創作(小説)

□朝靄の始点
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ー●●県溝辺町で森林火災、周辺の集落燃え尽きるー


…山間の田舎村の消滅。
それは、人々の記憶には普通なら残らないほどの出来事のはずだ。
だが外場村は何年たった今も、覚えている人は普通より多いのではないだろうか。


鎮火後、マスコミが焼け跡に足を踏み入れた先には、死体がごろごろと転がっていたのだ。

それも二、三という数どころではない。
数百もの数の屍体がそこには横たわっていたのだ。

マスコミは騒ぎたてミステリーとして人々にその記憶を植え付けたのだ。

だが、誰も、外場村に何があったのか。
知る人は少なかった。
村から離れた者は自殺、発狂、一家離散…
正常な意識を保てる者が少なく――いたとしても蒸発している者が多かった。
一体何があったのか。
インタビューにただ一人答えた老人はおびえながらも、こう、語る。

起き上がり――起き上がった死体なのだと。
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