短編

□雨の日に
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私はあまり雨の日は好きじゃない。

雨が降ると辛い思い出を思い出してしまうだけ。




……雨なんて嫌いだ。




雨の日に




私は今隊舎の中にある宿舎にいた。
隊舎内は自らの呼吸音が聞こえるくらい静まり返っている。
何故かというと、浮竹隊長や他の隊員は任務へ向かっているからだ。

私は任務に参加出来なかった。
今日はあまり体調が優れないから休ませてもらった。

だから、宿舎の中に敷いてある布団に横になっている状態だ。
頭が痛くて堪らない。

しばらく目を瞑っていたが全然寝着けなかった。



「…喉が渇いたな。」


布団の中からゆっくりと出て、喉を潤す為に水をいれにいく。


人がいないせいか、ひどく隊舎内は冷えきっている気がする。



━━ザァ…ザァ……




不意に静かな隊舎内に水音が響いた。

縁側に繋がる襖を開け、音がする外を覗く。



「…雨だ……」



なんでこんな時に雨が降るのだ…
唯でさえ体調が優れないのに、更に悪化した気分だ。




水を飲み、直ぐに宿舎に戻った。
布団に体を滑り込ませ、天井を仰ぐ。

薄暗くて…凄く心細い。



「隊長達…早く帰って来ないだろうか………」



とにかく、雨の音を掻き消して欲しかった。



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