捧物
□彼女までの方程式
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思ってもみなかった。つい先刻迄は散々痛がっていたのに、今では悦んですらいるようにも見えて。酷く滑稽に思えた。
「てぃき…、…てぃきいっ!!」
腰を打ちつけるティキの手に、小さくて温かいモノが触れる。
それは少女の、柔らかい手だった。綺麗に整えられたピンクの爪は、マニキュアも何も塗られていない天然色。表面を少し擦ってあるだけの爪が、大きな手に触れた。愛らしい仕草が堪らず、指を絡め取って手を繋いだ。
「ったく、どうしてこうも煽るのが上手いんだか…エッチな仔猫ちゃんは…」
くちっ…ぱん、パン、パぁん、ぱぁん!!
「ふにゃぁ!! ぁ、あぅ…ん、ぃ…あ、ぁああああぁあっvv」
アレンの足を高く上げさせて、その間に躯を滑り込ませる。膝上に乗った細い足が、一層激しさを増す突き上げに耐え切れずにガクガクと揺れていた。
「…だ、めぇ…も、イっちゃぅのぉ…!!」
ティキの手を強く握り、涙を流しながら限界を訴える。まだ達する予定のなかったティキは、驚いたようにアレンを見詰めた。けれど、それもそうか…と思い直す。体力も、踏んできた場数もこちらの方が豊富なのだから。
(今日破瓜した訳だし…この位が限界かな…?)
顔に掛かっているアレンの長い髪を払い、愛らしい顔を覗かせた。どうせなら、イく顔を拝みながら終わらせたいと、芽生えた邪な本能に従う。
「よ、っと…」
ティキは上体を起こすと柔らかな腿を掬い上げ、腰を浮かせてやった。不安定な体制が怖いのか必死になって縋り付いてくる姿は、あまりの可愛すぎた。小さく震えるアレンが年相応に思えて、罪悪感すら感じてしまう…。
(ま、今更だわな…)
アレンの体力的にも、もう限界なのだろう。だとしたら、長引かせる訳にもいかない。
(この体制だと挿入の深浅を自由に出来るのから…もしかしたら、イけるかも…)
ぱあああぁんっ!!
足を支える腕に力を込め、思い切り突き上げた。アレンは動かさずに、自分が動けば良いのではないかと至った結論。
「ふああっぁああっ!!?」
「アレン、もーちょっと…耐えてくれよ…?」
蜜の量が増しているのか、幹を伝い流れてきた。締め付けも、強くなってきている。
ずちゅ!!ぐじゅっ!!!!
「ふぁ!!や、ぁぁンっ!!!」
ぎゅっと首に巻きつく腕に合わせて、たぷたぷと揺れていた乳房も寄せられる。アレンの白い肌は、噛み付きたいという衝動を湧き起こす…。
ガリ…っ。
「きゃああぁぁぁああぁっ!!!!?」
歯を立てた瞬間、一段と締め付けが強くなった。背中に回された手が、爪を立ててアレンは達してしまった。
「…っく…!!」
「ぁ、やら…!!ださなぃで…っ!!?」
びゅるるっ!!
「ふゃ…ぁっ」
アレンの制止も意味を成さず、吐き出されてしまった精液。“ださないで”と言った瞬間、確かに離れようとしなのに離れられなかった。その原因は、腰に回された一本の逞しい腕。
(なん…で…?)
優しく見下ろしてくる瞳は妖しく笑う。温かな温もりに抱かれながら、少女は意識を手放した。
○ ● ○ ● ○
「…ん…」
重い瞼を開けると、既に空が明るくなっていた。太陽の位置はそんなに高くない事から、朝なんだろうと窺える。
「…?」
やけに温かいのは何故だろう…。躯を起こそうとしても、それは叶わなかった。抱き枕のようにして抱え込まれていたから。そして、布団の下は何も纏っていない…裸体だと気が付く。顔が、熱い。何とか抜け出そうとするアレンを、強い力が阻止した。
「おはよ、アレン」
「せ、先生…はなして、くださぃ…っ」
両腕を絡め、引き寄せた。尚もジタバタと暴れる少女の首筋に、顔を埋める。
「やだよ。だって離したら、逃げるだろ…」
寝起きの気だるげな声が、妙に艶めかしくてアレンは更に顔を赤くした。
「ぼ、ぼく学校が…!!」
「そんな躯で、学校行けんの…?」
どういう意味だろうと頭を働かせるよりも早く、ティキの口から答えが出た。
「だから…きすまぁく」
「……き…っ!!!?」
単語の意味を解した少女が、ぱっと視線を下げればそこには無数の赤い花が鏤めてあって。それでも、体育のない今日であれば服を脱がなければ大丈夫だろう。そう思い、ティキの方へ向き直ろうとした…が。
「痛…っ」
腰を強烈な痛みが襲った。これでは歩く所か、起き上がる事さえ困難だろう…。
「ほら、無理だろ?」
この事を解っていて、最初からああ言っていたのか。蹲るアレンの頬に、優しい口付けが落とされる。悔しそうに見上げる少女の頭をよしよしと撫でて、布団から出た。
「さ、て…風呂入るかな…。アレンも入るだろ?」
「は、はい…でも、ぼく起きれませんよ…?」
申し訳なさそうに俯く少女に微笑みかけると、長い腕をスッと伸ばす。被ったままの布団をパッと剥ぎ取り、丸まっていた華奢な躯を掬い上げた。
「きゃ…!!」
「これで大丈夫だろ?」
驚いているアレンを所謂お姫様抱っこで抱え上げたティキは、意気揚々と浴室へ向かった。