捧物

□彼女までの方程式
4ページ/6ページ

思ってもみなかった。つい先刻迄は散々痛がっていたのに、今では悦んですらいるようにも見えて。酷く滑稽に思えた。

「てぃき…、…てぃきいっ!!」

腰を打ちつけるティキの手に、小さくて温かいモノが触れる。
それは少女の、柔らかい手だった。綺麗に整えられたピンクの爪は、マニキュアも何も塗られていない天然色。表面を少し擦ってあるだけの爪が、大きな手に触れた。愛らしい仕草が堪らず、指を絡め取って手を繋いだ。

「ったく、どうしてこうも煽るのが上手いんだか…エッチな仔猫ちゃんは…」

くちっ…ぱん、パン、パぁん、ぱぁん!!

「ふにゃぁ!! ぁ、あぅ…ん、ぃ…あ、ぁああああぁあっvv」

アレンの足を高く上げさせて、その間に躯を滑り込ませる。膝上に乗った細い足が、一層激しさを増す突き上げに耐え切れずにガクガクと揺れていた。

「…だ、めぇ…も、イっちゃぅのぉ…!!」

ティキの手を強く握り、涙を流しながら限界を訴える。まだ達する予定のなかったティキは、驚いたようにアレンを見詰めた。けれど、それもそうか…と思い直す。体力も、踏んできた場数もこちらの方が豊富なのだから。

(今日破瓜した訳だし…この位が限界かな…?)

顔に掛かっているアレンの長い髪を払い、愛らしい顔を覗かせた。どうせなら、イく顔を拝みながら終わらせたいと、芽生えた邪な本能に従う。

「よ、っと…」

ティキは上体を起こすと柔らかな腿を掬い上げ、腰を浮かせてやった。不安定な体制が怖いのか必死になって縋り付いてくる姿は、あまりの可愛すぎた。小さく震えるアレンが年相応に思えて、罪悪感すら感じてしまう…。

(ま、今更だわな…)

アレンの体力的にも、もう限界なのだろう。だとしたら、長引かせる訳にもいかない。

(この体制だと挿入の深浅を自由に出来るのから…もしかしたら、イけるかも…)

ぱあああぁんっ!!

足を支える腕に力を込め、思い切り突き上げた。アレンは動かさずに、自分が動けば良いのではないかと至った結論。

「ふああっぁああっ!!?」

「アレン、もーちょっと…耐えてくれよ…?」

蜜の量が増しているのか、幹を伝い流れてきた。締め付けも、強くなってきている。

ずちゅ!!ぐじゅっ!!!!

「ふぁ!!や、ぁぁンっ!!!」

ぎゅっと首に巻きつく腕に合わせて、たぷたぷと揺れていた乳房も寄せられる。アレンの白い肌は、噛み付きたいという衝動を湧き起こす…。

ガリ…っ。

「きゃああぁぁぁああぁっ!!!!?」

歯を立てた瞬間、一段と締め付けが強くなった。背中に回された手が、爪を立ててアレンは達してしまった。

「…っく…!!」

「ぁ、やら…!!ださなぃで…っ!!?」

びゅるるっ!!

「ふゃ…ぁっ」

アレンの制止も意味を成さず、吐き出されてしまった精液。“ださないで”と言った瞬間、確かに離れようとしなのに離れられなかった。その原因は、腰に回された一本の逞しい腕。

(なん…で…?)

優しく見下ろしてくる瞳は妖しく笑う。温かな温もりに抱かれながら、少女は意識を手放した。




○ ● ○ ● ○




「…ん…」

重い瞼を開けると、既に空が明るくなっていた。太陽の位置はそんなに高くない事から、朝なんだろうと窺える。

「…?」

やけに温かいのは何故だろう…。躯を起こそうとしても、それは叶わなかった。抱き枕のようにして抱え込まれていたから。そして、布団の下は何も纏っていない…裸体だと気が付く。顔が、熱い。何とか抜け出そうとするアレンを、強い力が阻止した。

「おはよ、アレン」

「せ、先生…はなして、くださぃ…っ」

両腕を絡め、引き寄せた。尚もジタバタと暴れる少女の首筋に、顔を埋める。

「やだよ。だって離したら、逃げるだろ…」

寝起きの気だるげな声が、妙に艶めかしくてアレンは更に顔を赤くした。

「ぼ、ぼく学校が…!!」

「そんな躯で、学校行けんの…?」

どういう意味だろうと頭を働かせるよりも早く、ティキの口から答えが出た。

「だから…きすまぁく」

「……き…っ!!!?」

単語の意味を解した少女が、ぱっと視線を下げればそこには無数の赤い花が鏤めてあって。それでも、体育のない今日であれば服を脱がなければ大丈夫だろう。そう思い、ティキの方へ向き直ろうとした…が。

「痛…っ」

腰を強烈な痛みが襲った。これでは歩く所か、起き上がる事さえ困難だろう…。

「ほら、無理だろ?」

この事を解っていて、最初からああ言っていたのか。蹲るアレンの頬に、優しい口付けが落とされる。悔しそうに見上げる少女の頭をよしよしと撫でて、布団から出た。

「さ、て…風呂入るかな…。アレンも入るだろ?」

「は、はい…でも、ぼく起きれませんよ…?」

申し訳なさそうに俯く少女に微笑みかけると、長い腕をスッと伸ばす。被ったままの布団をパッと剥ぎ取り、丸まっていた華奢な躯を掬い上げた。

「きゃ…!!」

「これで大丈夫だろ?」

驚いているアレンを所謂お姫様抱っこで抱え上げたティキは、意気揚々と浴室へ向かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ