短編

□間違い
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数日間の入院。此処まで来ると奴も好き嫌いの次元を超越して気味が悪い。頭は重いながら正確に働いている。

「何があったの」
「別に」

横には彼が居た。大体何があったかなんて今更大した問題ではなくて、思い出したくもそんな必要も無いのだと思う。知っているくせにわざわざ聞いてくるのは何なのだろうか。
私が殴った事は知らないのかもしれないけど、それはそれで良い。

「お前は」
「なに」
「何も悪くない」
「意味わかんない」
「だってそう」
「柄じゃない事言わないでいい」

その時に気付くべきだったのかもしれない。だけど彼は変わり者だったから特に思う事なんて無かった。

彼が病室を出て行って、私の夜はただ白かった。知る由も無かった。
暫くの間を此処で過ごせば良かった。ほぼ日替わりで誰かが来た。彼は来ない。

学校に戻った。彼は居なかった。私の隣が空いた。彼の帰りを待つ事にした。
奴も消えた。戻って来る事は無かった。机の上に、黄色の花。あいつはこの世に居なかった。

月日が経つ。ゆっくりと記憶の中の残像が薄れていく。彼は戻って来ない。私はそれを知らない。

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