Silver Soul+2-☆

□透明の中
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手首切って流れる血を血圧下がってちょっと朦朧なりながら眺めて、あぁ生きてんだって実感。血液のあたたかさにほんの少しほっとして

手首と
それを切り裂いた剃刀を洗い流して


止血
服着て、髪乾かして

寝る







生きてるというのを実感するためには、ただでさえ手間のかかるかったるい日常に、さらに面倒な作業が加わるという。考えただけでかったるい。そうまでしないと生きていると、大事なことを確認できないなんて愚かなものだ。
そんなことしてまで生きていると、自分のあたたかさを確認したいだなんて


ばかだなぁ

そんなに生きたいなら
生きていられる






朝起きたら飯食って顔洗って着替えて歯磨いて髪の毛いじって靴履いて出かけて

家に帰ってきて寝るまでに、どれだけ面倒っくさくてかったるいことしなきゃいけないと思ってんだ
寝て起きたらまた繰り返し

明日ってなんだ
結局、いつまで生かされてりゃいいのかわかんねぇ

顔洗って着替えて歯磨いて飯食って、定期通して電車待って乗って挨拶して

帰ってきて
寝る



かったるい作業をそれでも延々こなしてきた。この上まだ手首切ったりすんの?めちゃくちゃハードじゃん
つまり、俺は、朝起きて飯食って着替えて歯磨いて靴履いて出かけて帰ってきて寝る、それだけで満たされてて生きてられて、だけど大事なところは見たことがない。




血は

手首から流れて水に滲む
曖昧になって排水溝へ吸い込まれていく、鉄の臭いと
俺の血は、立ち上がると音を立てて下がってゆく
吐き気がする





別に死にたいわけじゃないんだろう、剃刀はやわらかいのかもしれない
線路は冷たいし固い
やわらかくてあたたかい皮膚をやさしく剃刀でつぷり、と、あたたかい赤い血が……見たことはないけれど。
歩く俺の足は棒になったみたいにカチコチで、靴底から伝わる冷たさは

本物だ
ここで俺の体がねじられ骨が砕かれても、線路の周りに飛び散るのは冷たい塊だけだ。冷たい。ここにもあるんだあたたかさは、生きてるから。
それはきっと
虚ろな目をして風呂場にいるおまえの、手首の傷を撫でてあげられたら、それが一番あたたかいのだと知っていることなのだろう
ずっと、今すぐに













○○

病む坂田のターン


めいん

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