成歩堂龍一で26のお題

□7.長い一日
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時間を持て余す事務所に、突然一本の電話が入った。


「はい。成歩堂法律事務所です。」


その電話の主は楽しそうに笑いながらこう言った。


『なるほどちゃんの時間を少し、ボクにくれないかなぁ〜?』


成歩堂はこの人物が苦手であった。
勿論、この場で断ることも可能。
しかし、続けられた言葉がその選択肢を消去する。


『ボクのオアシスの事で、ちょっと話があるんだよね。』


御剣をそう呼ぶ人物は向こうで満足げにしているのだろう。

この人物から御剣の名前が出るときは、簡単な話ではない事を成歩堂は理解していた。


「分かりました。ただ、今事務所を出ることが出来ないのでもう少しお時間を頂いてもいいですか?」

『一人なのかな?ならボクがそっちに行っても構わないよ?』

「いやいやいや…!30分位で出られると思います。」

『そぉ?じゃあ迎えに行かせるから。ヨロシク!』


切れた電話。
暫く呆然としていた成歩堂だが、働き始めた頭でようやく気持ちが動き出す。


「御剣…なんかしちゃったのかな…。」


今まで厳徒から御剣の事を聞かれた事はある。
でもそれはすれ違うときに掛けられるちょっとした言葉や、短い立ち話の中での事。

確かにそれらは全て真剣な会話だったが、こうして呼び出される事は初めてで。


 
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