○ 上層駄文2
□お泊まりしようよ
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『あ〜悪いんだけどさ御剣ちゃん、今日の夜、局長室に来てくれる?』
「夜…ですか?」
『そ、夜。あ、これはボクのワガママじゃなくて警察局長としての指示だから。ヨロシク〜!』
意味を理解する間もなく、言いたい事だけを言って立ち去られてしまった。
時間の指定もなく、用件もなく。
今に始まった事ではないが、私はただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
私は一体どうしたら良いのだろうか。
【お泊りしようよ】
「あいすまねッス…御剣検事…」
とりあえず自らの業務を終えてから警察局を訪れた。
今日は週末であって成歩堂が私の部屋に来ることになっていたのだ。
早く終わるといいのだが…と祈るように開いた扉の先にはこの男がいた。
『週明けの法廷なんだけどさ、このコが証拠品一つ行方不明にしちゃってさ』
信じられない言葉を聞いてしまった。
担当検事は勿論私である。
『皆がいる時間だと騒ぎが大きくなっちゃうじゃない?それはこのコにとっても御剣ちゃんにとってもイイ事じゃないってボクは判断したワケ』
確かにそれはそうかもしれないが、大人数で探したほうが合理的ではないかという気もした。
しかし巌徒局長のこと。
何かそれ以外にも考えがあったのかもしれないと、自らの思いを口にはしなかった。
『そんなわけだからサ、よろしくね!』
何を宜しくされたのか全く分からない私に、隣に居る元凶たる男が頭を下げた。
『今日は当直して探せとのことッス…すまねッス…』
そして現在に至る。