○ 上層駄文2
□図書館へ行こう!
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「折角の休みであるし、図書館に行こうではないか」
週末の昼、部屋でくつろいでいた御剣の口から、とんでもない言葉が飛び出した。
図書館なんて司法試験前に通った程度で、僕にとっては何よりも寛げない場所第一候補だ。
何で休みの日にわざわざそんなところに足を運ばないといけないんだとがっくり肩を落とした僕とは反対に、言いだした本人はデート前夜の乙女のようにいそいそと準備を始めた。
ありえない。
休みだというのにありえない。
僕たちは受験前の高校生じゃないんだぞ?
ちゃんと資格を持ってお国に使える大人なんだぞ?
図書館なんかで何するんだよ。
そんな僕の心の中の抗議は、誰にも聞いてもらえることはなかった。
*
午後1時半。
たくさんの人が行き交う街並みをすり抜けて、御剣はためらうことなく図書室へと足を向けた。
やっぱり冗談じゃなかったんだという再度のガックリ感をよそに、その自動ドアを颯爽と潜り抜ける。
通いなれているのだろうか。
何かを探す様子もなく足を進める御剣を見失わないように僕も必死に後を付いていくけれど、周りを見渡しても僕の好きな雑誌の類は当然ながら何もない。
「何をしているのだ。置いていくぞ?」
「…別において行かれても迷子にはならないんだけどさ。何で今更図書館なんだよ。何か探しもの?」
「いや、別に探し物ではないが…?」
「…じゃあ何しに来たんだよ」
「決まっているだろう。読書である」
「そりゃそうだけど…」