○ 上層駄文2
□Let's go sea! 〜前編〜
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「海に行こう!」
金曜の夜、突然成歩堂がそんな事を言い出した。
暖かくなり始めた頃から海に行きたいと言っていた事は勿論知っていたが、聞かないフリをした。
確かにスイカ割りをしようと話した事はある。
しかし私は海は正直好んで行くほどではなかったのだ。
「何を言い出すのだ唐突に」
「御剣こそ何言ってるんだよ。唐突なんかじゃないだろ?僕は春からずっと言ってきたじゃないか!」
「…本気だったのか。またキミの気まぐれかと思ったのだが…」
「明日、天気もいいし真宵ちゃんと春美ちゃんを誘ってさ、いこうよ」
「…そのような急な予定は彼女たちも困るのではないかね?」
「大丈夫!御剣に聞いといてって言われたんだよ僕!」
どうやら私の知らないところで話が進んでいたらしい。
そして行くことも私の意志一つで決定になるようだ。
恐らく今頃、真宵クンと春美クンは明日の海水浴を心待ちにしているのだろう。
そんな少女の思いを無碍には出来ない。
「……わかった。付き合おうではないか」
「本当!よかった〜!じゃあみんなに行くって連絡しなくちゃ!御剣!電話貸して!」
「…いつも言っているのだが自分の携帯から掛ければいいではないか!!」
「だから料金高いんだって!それに沢山電話するから」
「沢山?」
真宵クンと春美クンは一緒に居るのではないのだろうか…。
もし別に居たとしても2箇所にかけるだけではないか。
「えーと、イトノコさんイトノコさん…」