○ 贈り物

□キミにHappy Birthday
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目の前に置かれた大きなケーキ。
それはあまりにも大きすぎて、そして不恰好で、僕は思わず笑ってしまったのだけれど…。

次の瞬間僕に浴びせられたのは真宵ちゃんと春美ちゃんの非難の言葉だった。






『キミにHappy Birthday』






「ひっど〜いなるほどくん!折角御剣検事が私のために作ってくれたケーキなのに!」

「最低ですナルホドくん!」

「え?み…御剣が?」


見渡す限り御剣の姿はない。
だから僕はてっきり真宵ちゃんと春美ちゃんが作ったんだと思った。
それに御剣といえば料理が上手で、いつも美味しい食事を僕に作ってくれる。

その御剣がこの馬鹿でかいイビツなものを作ったとは思いがたい。


「な、なんで御剣が?しかも何処に行ったんだよ」

「ろうそくがなかったって言って車で出掛けたよ」

「え?ろうそく?」

「ナルホドくん…今日は真宵様のお誕生日です。勿論、ナルホドくんからはコンヤクユビワなるものが贈られるのですよね?ワタクシ、一度でいいからそんなゲキテキシュンカンにご一緒させていただきたかったのです!」


知らなかった。
今日が真宵ちゃんの誕生日だということも、春美ちゃんがいつの間にか要らぬ知識を得ていることも、そして御剣がお菓子作りが苦手だということも…。


「ム。成歩堂、戻っていたのかね」


手に小さな袋を提げた御剣が戻ってきた。
どうやらろうそくだけじゃなく何かを購入してきたらしい。


「御剣…お前料理得意じゃなかったっけ?なんでケーキがこんな大変なことになってるんだよ」

「…料理は膨らまない」

「は?」

 
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