(S)N-SEIGAKU


□世界中の誰よりも
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地球に人間が誕生して、
 
いくつもの国が出来て、
 
日本に彼が生まれて、
俺が生まれて、
 
それだけで奇跡だと言えるのに、
俺達は出会った。
 
 
それって、めちゃめちゃすごい偶然だと思う。
 
 
 
世界中の誰よりも
 
 
 
青春学園中等部の放送室から、生徒の帰宅を促すアナウンスが鳴り響いた。
 
教室が心地よくて、生意気ルーキー越前リョーマはまだ帰ろうとはしてなかった。
…ではなく、課題が終わらず居残りを命じられてしまったので面倒だと思いながらもこつこつとシャープペンシルを走らせていた。
 
「英語、あんな簡単なの馬鹿みたくてやってらんない」そんなことを数日前まで言っていたのに、課題をやっていなかったのはリョーマだけだった。
 
 
 
問1 あなたの大切なものを、英文で紹介しなさい。
 
やっぱり、馬鹿げている。プリントの問題を見ながら、リョーマは思った。その問題の横には、家族の写真を持って佇む男の子が書かれていた。
「家族が大切ですって言わせたいなら、そうゆう問題出せばいいじゃん」
退屈になり、シャープペンシルをプリントの上に放り投げた。
まだ、帰れそうにはないようだ。
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