under story

□*カニバリズム
1ページ/1ページ



愛してる

あいしてる


アイシテル





、だから








:カニバリズム:









彼が任務から帰ってきたと聞いて僕は部屋をとびだした。
向かう先は当然、愛しい彼の元。






コンコン


彼の部屋に着いた僕は焦る気持ちを押さえ軽くノックしてみたが返事がない。
僕は持っていた合鍵で鍵を開け、そろりと部屋の中に入った。





「神田‥‥?」


名前を呼んでも返事なし。どうやら神田は寝ているようだ。暗やみからスースーと彼の寝息が聞こえてくる。

僕は窓から差し込む月光を目印に暗やみの中を突き進んでいった。






「神、田‥‥」


ドクリ、と心臓が音を立てた。

長く艶のある黒髪を散らして、綺麗な瞳を伏せて、神田は眠っていた。



ゴクリ‥

神田の眠る姿があまりに美し過ぎて僕は思わず生唾を飲み込んだ。
真っ白な肌が月光を受けてほのかに輝いている。



何を思ったのか



気付いたら僕は神田の喉元に六幻を当てていた。
きらり、刃が妖しく光る。







長い間離れていたせいか。

寂しさが積もり過ぎたせいか。


それとも‥‥








ドクドクと心臓が早鐘のように鳴る。
六幻を持つ手がカタカタと震え、僕はぎゅっと柄を握った。




「ん‥‥」


ツプリ‥

少し刃を引いてみる。
たちまち切ったところからプクリ、と赤い血が膨れ出て流れた。




ペロリ。


僕はそれを舐めてみた。

舌先がジン、と痺れて口内に甘い味が広がった。だがそれは一瞬のことでそのあとは血特有の鉄臭さが漂った。





また刃を引いてみる。今度はさっきより少し力を入れて。

ツー、と血が首を伝いシーツの上に落ちる。

またそれを一舐め、二舐めと神田を貪っていった‥
























僕が思うに、"赤色"ってのは不思議と人を引きつける何かがあると思うんだよね。



だって、止められないんだもの



僕が満足になったころには神田の顔は蒼白になっていて、真っ白だったシーツは真っ赤に染まっていた。





「ふふ‥きれいですよ、神田」


僕は神田の首から溢れる血を指ですくって、それを神田の唇に塗り付けた。
そしてそっと口付けた。







「ご馳走さま。僕の愛しいカンダ」






フフ、と笑って口についた血をペロリと舐め取った。


濃くて深い神田の味に、僕は狂喜にうち震えた。























































君のココロもカラダも


、血の一滴さえも

欲しいと思うんだ




だって

アイシテシマッタカラ






end.
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ