〜短編集〜

□花冠
1ページ/4ページ


「できたー」


子供が嬉しそうに傍らにいた少女へ見せた。
少女はそれを微笑みながら見て返す。

「あら昌浩様、お上手ですね」

「えへへっ」


安倍邸の庭の隅。
そこでは、3つになる晴明の末の孫、昌浩と神将達が遊んでいた。
遊んでいると言っても、実際昌浩の相手をしているのは天一のみ。
朱雀は天一の近くにいるだけで、勾陣に限ってはただ遠くから見ているだけだった。


「…昌浩、まだ作るのか?」

縁側で傍観していた勾陣が聞くと、昌浩は笑顔で振り返った。


「あと、ふたつー」


昌浩は天一に教わりながら、花冠を作っていた。

不器用な手つきだが、作り方を覚えたのか順調に2つ目を作っている。
しかし、まだ三歳。
上手く結べず解れてきた所は天一がそっと直していた。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ