REBORN!

□speranza
2ページ/8ページ

私の一日は、朝坊ちゃんを起こすことから始まる。

しかし昔と違って、大きくなられた坊ちゃんは私が起こしに来ても大抵起きていて、お着替えを手伝おうとすると、「いらない。」と断られる。
「…。」
小さい頃はもう少し甘えん坊でしたのに…。
最近は可愛い寝顔もお着替えも手伝うことがなくて、少し寂しいです。



坊ちゃんのお着替えが終わるまでに朝食の用意をして、そうしていたら直ぐに坊ちゃんは食堂に降りてくる。



「…午後2時より、沢田邸にてお茶会。以上が本日の予定です。」
食後のお茶をお出しして、今日の予定をお伝えする。
「そう。」
「それから、此方が今朝届いた手紙なのですが…」
「何?」
「本邸の旦那様からです。」

雲雀家の印を施された手紙を渡すと、坊ちゃんはその形の良い眉をさらに顰め、受け取って直ぐに開封する。
中から一枚の手紙が出てきて、旦那様の字が綺麗に並んでいる。坊ちゃんは黙ってそれを読むと、カップに残っていたお茶を一気に飲み干し、立ち上がる。

「ムクロ」
「はい、何でしょう。」
「綱吉のところでの予定はキャンセルして。それから、馬車の用意を。」
「かしこまりました。…あの、坊ちゃん」
「何。」
「行き先はどちらに?」

尋ねると、坊ちゃんは肩越しに振り返り、先程の手紙をひらりと振ってみせた。

「実家。」
それと、と言って坊ちゃんは不機嫌そうな(でも綺麗な)顔をさらに深めて続ける。
「坊ちゃんと呼ぶな。」

ではお嬢様とお呼びしても?と冗談を言うと、燭台が飛んできた。危ないですね…。



_

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ