REBORN!

□俺を、殺して
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「お願いします。」


言葉を告げて尚、静かに自分を見つめる愛しい人。







「俺を、殺してください。」

「何で僕が、」


彼の声音はいつものように淡々と。
しかし、長い付き合いだから俺には分かる。
自分の言葉に、彼は動揺している。

無表情の下に隠れる、僅かな感情の変化。
プライドの高い彼は決して表に出さない。
そんなところが、とても愛しく思える。

そんな貴方だから、俺は、





「雲雀さんに、殺されたいんです。」
「いやだ。」




即答。

そうですよね、死にたがってる奴を手にかけたって、つまらないですもんね。
怪訝そうに眉を顰める彼。



でも僅かに揺れる、漆黒の瞳。



あぁごめんなさい。
貴方にそんな表情させたくないんです。矛盾しているけど。



「恭弥、」



名前で呼ぶと、彼は卑怯だと言ってくる。



本当は、誰よりも人に優しくて、臆病で不器用な人。
そんな彼に、こんなお願いする自分は、なんて残酷なんだろう。


自分でも分かっています。
でも誰よりも愛した恭弥だからこそ殺してほしい。








貴方の手で、終わりたいんです。






「わかったよ……綱吉」


あぁ、貴方こそ卑怯だ。
こんな時になって名前で呼ぶだなんて…


「ありがとう…




きょーや」






目蓋を閉じる。













貴方の手で終われる、この至福−









END
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