White
□mutual
1ページ/7ページ
微睡みに見る昔の光景。俺って表情ないな。
「昨日あの女のところ行ってたんですってね。」
「そだけど。」
タバコに火を付けながら女の方を見ずに答えた。
「誰と寝ようが俺の勝手でしょ?」
「だって!」
「恋人でもないのに何言ってるのさ。」
深く吐いた煙で女が霞む。サラサラの茶葉に胸元の大きく開いた服。体はいいね。でも
「そもそもタイプじゃないんだよね。バイバーイ。」
「待ってよ!」
そんなことがあったのは昨日。
「どうして私じゃダメなの!?」
「ただの情報源だし。」
面倒くさいな、女って。情報の為にちょっと抱けば恋だの愛だの言っちゃって。アンタだって誰とでも寝るんだろ。
「好きなのよ!」
「…ウザ」
「それでも…!」
一言吐き捨てて後ろを振り返れば引かれる袖。血が冷たく逆流した。
―――ガゥン!
「ウザイって言ったでしょ?」
生温く赤い花が散った。昨日今日とおんなじような事があるとイライラする。
大体嫉妬って醜いよね。恋人面してるのも腹立たしい。
昔はそう思ってたんだけどね。
.